「ＦＭ　ＣＯＣＯＬＯ」リニューアル / 大阪日日新聞

関西で唯一の外国語放送局として１９９５年10月に開局したＦＭ　ＣＯＣＯＬＯ（76・５ＭＨｚ、大阪市住之江区）が、かつてラジオに慣れ親しんだファンを呼び戻そうと、45歳以上の「大人」をターゲットに４月から「第２の開局」と位置付けた大胆なリニューアルを図り、話題を集めている。

開局後、多言語放送と並行して海外文化を伝えられるよう日本人向けの番組も整備してきたが、ラジオ離れが加速。15周年を機に「ＦＭラジオを聞いて育った現在40代後半以上の聞き手を呼び戻そうと、若者向けとは一線を画した番組づくりを企画した」と同局を運営する関西インターメディアの谷川智樹部長は話す。

　同じ大阪を地盤に、個性的な音楽センスで強力なブランドを築き、大阪の熱心なラジオファンを20年にわたって生み出してきたＦＭ８０２に協力を要請。番組制作や編成、コンセプトなど根幹に至るまでタッグを組み、８０２開局当初の番組をタイトルそのままに復活させるなどした。

　ＦＭ８０２編成局担当者も「デジタル放送の多チャンネル化などを見据え、開局当初からの聞き手と今の若者両方の要求に応える番組の在り方を模索していたところで、大人が聞けるラジオ局があってもいいと考えた。ラジオに親しんだ世代を呼び戻すことで、業界全体の活性化になれば」とエールを送る。

　大量消費時代にいち早くエコの概念を打ち出した米雑誌「ホール・アース・カタログ」をコンセプトに「流行を追い掛け消費するのではなく、いいものを大事にしよう」というエコ精神がコンセプト。70～80年代の音楽は若者にとって新鮮でもあり、「逆に面白がってくれている」という反応も感じる。

　ＦＭ８０２で活躍したちわきまゆみさんやカマサミ・コングさんなど、大阪でラジオに親しんだ人にとって旧知のＤＪが出演。マーキーさんは両局で番組を持つ。また、「米国と日本を頻繁に行き来して、自身が体験したニューヨークの最新情報を紹介してくれる」というＫＩＹＯＭＩさんなどを起用することで、従来と異なる観点からも国際的な放送に取り組む。　

中国語や英語を操り、以前から同局で活躍するメメさんも「改編してから年配の聞き手が増えている。古い音楽も懐かしいだけでなく新たな発見ができて楽しいし、聞き手も同じように楽しんでいる」と手応えを感じているよう。インターネットでラジオが聞けるサービス「ｒａｄｉｋｏ．ｊｐ（ラジコ）」の試験配信も同時期に始まり、業界全体に追い風が吹いている。

　谷川部長は「こんな放送局を待っていたという声も届き、総じて好評を得られている。単に人気ＤＪを集めて昔を懐かしむのではなく、両局のカラーやＤＪの魅力が一体になって、大人の新しい放送局の良さを打ち出したい」と呼び掛ける。