内窓の開けやすさは? / 日経BP

 住宅エコポイントの対象として注目を集めている内窓。見た目の違いだけでなく、使用感の違いなどもあるのだろうか。日経ホームビルダーは、コラム「とことん実証! 建材・設備」で、内窓の施工性やデザイン、性能などを検証し、各製品の違いを探った。

 今回のテーマは、「開閉力」。どれくらいの力で障子を開けることが出来るのか検証した。7製品それぞれについての分析結果をお届けする。詳細は、日経ホームビルダー2010年7月号の「とことん実証!」でレポートしているので参考にしてほしい。

各製品の引き手の位置(引き手のないものは、障子の高さの中央部分)に吸盤付きフックを貼り付け、引っ張り計測器を持って静かに引く。約40cm開くまでのピーク時の力を計測した(写真:澤田聖司、資料:日経ホームビルダー)

 

大信工業の「プラスト」が4kgfを上回った。同社商品開発部開発グループチーフの村上敦亮さんは、「気密性を重視して、縦枠に深く障子をのみ込むようにして閉めるため、障子を開き始めるときにやや大きな力が必要。また、他メーカーと異なり、接地面が平らな丘戸車(おかとぐるま)方式を採用しているため、戸車の摩擦が大きくなりがち」と説明する(資料:日経ホームビルダー)

 内窓の使い勝手の一つとして、障子の開けやすさに着目した。上の写真のように、障子を完全に閉めた状態から、どれくらいの力で開けられるかを測定した。

 5回計測して平均値を比較したところ、おおむね3~4kgfの力で障子を開けることができた(上の図を参照)。日本工業規格(JIS)では外窓の開閉力の規定は5kgf以下。この数値と比較すると、各メーカーとも内窓の開けやすさに配慮しているようだ。

 7製品で最大約1kgf異なったことについて各メーカーに尋ねたところ、障子の重さ、気密の取り方、戸車の形状の3つが主に影響していることがわかった。

 「気密性を高めると遮音性能は上がるが、気密材の摩擦が強くなり障子を開けるのが重く感じる」(YKK AP住宅建材事業部商品企画室長の槇浩之さん)というように、性能を考えず「重いから悪く、軽いから良い」とは単純に判断できない。「引き手に手が掛けやすく、力を入れやすいかなどによっても、住まい手が感じる開閉力は異なる」と指摘するメーカーもいる。戸車の調整で開閉力が変わることもある。

 各メーカーで異なる気密の取り方や手掛かりの形状、戸車の大きさや状態などを理解したうえで、障子の開けやすさは判断したほうがよさそうだ。それぞれの違いは、下の写真などを参考にしてほしい。

障子の重さは、向かって右(クレセントが付いているもの)を測定した(写真:澤田聖司、資料:日経ホームビルダー)

気密性を高める仕組みは、上枠、下枠などで各メーカーとも異なる(写真:特記以外は澤田聖司、資料:日経ホームビルダー)

組み上がっていた障子を一度分解し、戸車を外してサイズを測定した(写真:特記以外は澤田聖司、資料:日経ホームビルダー)
 

実験の概要

現場での施工実験は、窓の断熱リフォームを推進するエコ窓普及促進会と、ガラス卸会社のマテックスに協力してもらった。検証現場は、東京都内にあるマテックスの社員寮の一室。鉄骨(S)造の建物で、間取りは1DK。部屋には掃き出し窓が1窓あるタイプだ。3日間借り切り7メーカーの製品を用意して、同じ条件になるように実験した。(協力:エコ窓普及促進会、三城工務店、須田硝子、マテックスグル

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