国土交通省と日本下水道協会は共同で、設計業務の低入札対策や工事の不調・不落対策などを発注者である自治体に促す報告書をまとめた。国交省は道路や河川などの直轄事業で講じている対策を参考にしながら、下水道事業の特性を踏まえた対策を提示した。
下水道事業は、道路や河川などのほかの公共事業と異なり、国交省の直轄事業がない。工種も土木と建築のほか、機械や電気などの設備の比重が大きいといった特性がある。この報告書は、下水道事業を営む全国の自治体がそろって対策を講じるよう促すのが狙いだ。
設計や調査などのコンサルタント業務の低入札の傾向が止まらないことから、低入札価格調査制度や最低制限価格の導入を求めた。さらに、総合評価落札方式やプロポーザル方式といった価格以外も評価する入札方式の導入も求めた。
工事の不調・不落は、都市部の開削工事や機械・電気設備工事に多い。都市部の工事では、積算で直接工事費と間接工事費を割り増す補正をかけたり、工事完了後に次の入札で総合評価の評価点を加点したりといった取り組みを紹介している。機械・電気設備工事では、入札参加資格要件の緩和や、実態に即した積算や仕様書の作成などを挙げている。
このほか、今後は改築工事の増加が見込まれることから、特に更新期間の短い機械・電気設備に関して積算の適正化や設計変更の円滑化の方策をまとめた。また、継続工事(後工事)の予定価格の算定に際し、前工事の落札状況を考慮することも求めた。前工事の落札率を後工事に当てはめる「落札率方式」のほか、前工事で個別の単価を受発注者間で合意し、それを後工事でも採用する「総価契約単価合意方式」の二つを提示している。
この報告書は、東京都下水道局計画調整部の板尾芳治技術管理担当課長を委員長とするワーキンググループがまとめたもの。2009年12月から4回会合を重ね、10年7月2日に公表した。