9月は決算が集中する月ですが数字や会計に苦手意識を持っているビジネスマンは多い。いつまでも苦手のままでいるのは、会計を勉強するときのゴールが見えていないからだ。ひと言で会計といっても、人それぞれ立場によって必要な知識は異なる。自分の仕事とつなげてゴールを考えることが大切だ。
ROA、ROEといった経営指標や数値を示されても、多くのビジネスマンは実感がわかないだろう。リストラなどをめぐる労使の対立構造を見ても感じることだが、労使間で危機感の共有ができていない理由は、会社の数字を現場が把握していないことが大きい。危機感の共有には、現場の仕事にブレークダウンした数値の共有が不可欠だ。
たとえば赤字と黒字の分かれ目である「損益分岐点」は、押さえておくべき数字だ。しかし、分数や比率で伝えられても、仕事にどう結びつくのか、重大さを認識しにくい。
そこで、ゴルフ場などを経営するある会社では、損益分岐点を「日付」で表現している。毎日、売り上げとコストを累積計算し、「今年は、本日○月×日でやっとコスト回収完了。去年より△か月も遅かった」などと公開するのだ。
このように工夫すれば、一人ひとりがコストの重みを共有でき、改善の意欲も増すに違いない。興味のあるテーマから、数字の活用法について読み進めてほしい。
会社の数字の勉強は簿記から――まずはそんな思い込みを捨てよう。じつは、簿記の知識は、「決算書をつくる」経理の仕事に携わっている人以外、ほとんど必要ない。“非経理部門”に携わる人に最低限押さえてほしいのは「決算書を読む」知識だ。
決算書というと、難しい印象を持つかもしれないが心配はいらない。ざっくりと図式イメージで決算書全体を捉えることからスタートすればOKだ。
最初のポイントは、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の関係性だ。それは「点と線」のイメージで表すことができる(図1)。
点は決算日のストック(ある時点の量)で、「決算時点で会社がどれだけ財産や借金を持っているか」を示す。線は一定期間のフロー(量の変化)で「前期の決算日から次の決算日までの儲け(利益)の増減」を示す。
決算書に記されている日付を見るだけでも、点(B/S)と線(P/L)の関係性をつかめる。B/Sでは、「○年12月31日」という決算時点の日付が、P/Lには「自 ○年1月1日 至 ○年12月31日」という決算期間が記される。つまり1年間の推移(=原因)を表すのがP/L、その累積状況を表した(=結果)のがB/Sというわけだ。
では、それぞれをどう見るか。B/Sには「どうやってお金を集めて(調達)」「何に投資しているのか(運用)」が示される(図2)。調達を示す右側と、運用を示す左側の大きさが等しいことから、バランスシート(B/S)と呼ばれている。簿記的には右側を貸方、左側を借方と呼ぶが、それは気にしなくていい。
資金調達には、自分でまかなう(自己資本)方法と、他人から借りる(他人資本)方法がある。B/Sでは、返済義務のある他人資本を「負債」、返済しなくていい自己資本を「純資産」と呼ぶ。
右側で調達された資金は、左側の資産に投資され、「在庫→売掛金→現金→在庫」といった流れで循環する。右側から流れ込んできたお金が、左側でグルグル回っている。この「調達と運用」のサイクルが、B/Sの構造となる。
B/Sを見る際のキモは“グルグル”、つまり「投資とリターン」のサイクルがうまくいっているかどうかにつきる。それを判断するために、いいB/Sと悪いB/Sのイメージをつかんでおきたい。
いいB/Sは、右で調達した資金より左の資産が拡大している。よって、右下に利益剰余金(+)を置いてバランスをとる(図2)。投資の結果、商売がうまくいったことがわかるだろう。
悪いB/Sでは、右で調達した資金より資産が減り、目減りした分の利益剰余金(-)を左下に示す。最悪の場合は、資産が大幅に目減りし、資産が負債より小さくなる。この状態が債務超過だ。
次はP/Lを見ていこう。P/Lの基本は「収益―費用=利益」。儲け(利益)の構造を示す内訳明細書のようなものだ(図3)。
売り上げから売上原価(仕入れ・製造にかかるコスト)を引いたのが売上総利益。そこから販管費(販売・管理にかかるコスト)を引いたのが営業利益。つまり本業で稼いだ儲けとなる。
さらに利息や受取配当を加算・減算(営業外収益および営業外費用)したものが経常利益。特別利益(損失)を加減し、法人税を差し引いたのが最終的な当期純利益となる
この2つの決算書は、ライバル会社あるいは同じ業界内で比較すると、会社の特徴や課題が見えてくる。
ここでは同業界で売り上げ規模がほぼ同じレベルのアサヒビールとサントリーを見てみよう。売り上げ規模が同じということは、会社の規模や認知度がほぼ同程度と判断できる。が、利益構造には大きな差があることがわかる。
まずはB/Sを比べてみよう(図4)。上場会社のアサヒビールと非上場会社のサントリーで、株主出資に大きく差があることがわかる。そして注目すべきは、利益剰余金だ。サントリーでは、利益剰余金の割合が非常に大きくなっており、これまでのビジネスがうまくいったことが見てとれる。
ここで決算短信を細かく見てみると、サントリーは2008年12月期、当期純利益が前期比で33.2%増と過去最高を更新している。
P/Lを見てわかるように、他社と比較すると販管費が比較的高いのがサントリーの特徴だ(図5)。しかし、この期は販売費を中心にコスト削減をすることで、原材料費高騰を吸収。ライバル各社が缶ビールの値上げをした際、価格を据え置いたのも売り上げ増に貢献した。こうしたコスト削減努力が実り、ビール事業初の黒字転換を成し遂げたのだ。
これら細かい数字を把握しなくとも、B/S、P/Lを数期分ざっくり見てみるだけでも、会社の実態や変化を大まかにつかむことは可能だ。
また、これは損益分岐点の話にもつながるが、売り上げが同程度でも、コスト削減次第で利益構造が大きく変わることも覚えておきたい。
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大阪府行政書士会 旭東支部所属 (大阪市都島区・鶴見区・城東区・旭区) 東洋法務総合事務所の B l o gへようこそ。
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