太陽光パネルが抱える雨漏り対策の難題 / 日経BP

太陽光発電パネルを設置した屋根の雨漏り相談が増えつつある。国民生活センターに寄せられた件数は2009年度が22件で、前年度の約3倍になった。

 雨漏りの原因調査を手掛ける雨漏り検診技術開発研究所(東京都清瀬市)も、同種の相談を昨年までに4件、今年2件受けた。

 この種の雨漏りは通常、設置会社やパネルメーカーが無償で対処するので、公に発覚しにくい。「それでも最近は、設置会社などに雨漏りを補修してもらえない建て主などから、相談が来るようになってきた。雨漏りはパネルを設置してからしばらくしないと気付かないので、これからもっと増えるだろう」と同研究所所長の大渕正さんは話す。

 太陽光パネルを載せる際に、雨漏りリスクを高めてしまう施工法はいくつかある。まず、パネルの架台を垂木などの構造材に固定していないことだ。それに該当する雨漏り事例だ。

目地付近のビス穴から浸水した雨漏り事例

(写真:フォトボルテック)
(写真:フォトボルテック)

 

(写真:フォトボルテック)
(写真:フォトボルテック)

 

(写真:フォトボルテック)
(写真:フォトボルテック)

 

(資料:日経ホームビルダー)
(資料:日経ホームビルダー)
 
       架台と垂木のピッチが合わない
 

 構造材に固定していない理由の一例は、目視で構造材の位置を確認しづらいからだ。さらに、構造材への固定をパネルメーカーが設置会社に求めない場合がある。

 そのほか、太陽光パネルの施工ノウハウを教えているフォトボルテック(大阪府茨木市)社長の西島貞夫さんは、「メーターモジュールでつくられているパネルが多いので、架台の支持金具と垂木のピッチが合わなくて、垂木に固定できないことがある」と話す。

 こうした実状に潜むリスクを踏まえて、国土交通省はリフォーム瑕疵保険の設計施工基準に、構造材か、構造材に取り付けた補強板に架台を固定することを、この5月に定めた。

 「野地板の固定だと架台が動く恐れがあるだけでなく、ビスが緩んでシーリングなどが切れやすくなるからだ」(同省住宅生産課課長補佐の豊嶋太朗さん)

「住宅瑕疵担保責任保険 現場検査講習テキスト第2章「リフォーム瑕疵保険 現場検査の内容」にある化粧スレート屋根の注意事項

(国土交通省住宅局「住宅瑕疵担保責任保険 現場検査講習テキスト」を基に日経ホームビルダーが作成)
(国土交通省住宅局「住宅瑕疵担保責任保険 現場検査講習テキスト」を基に日経ホームビルダーが作成)

 支持金具の取り付けは垂木に直接ビスを締め付けることを原則とし、メーカーのマニュアルなどに従った方法で施工する

それ以外の方法で取り付ける際は、強度が確保されていることを試験などで事前に確認する

ドリルなどで先穴を開ける際は、開口部に止水処理を施す

         衝撃に弱い化粧スレート

  雨漏りリスクが懸念される施工法の二つ目は、古い化粧スレートに後付けすることだ。そもそも化粧スレートは薄くてデリケートな素材だ。「劣化するほど衝撃に弱くなるうえ、屋根材の重ね部分で毛細管現象を起こしやすいので、屋根材の下に水が入り込みやすくなる」(西島さん)

 そのため、化粧スレートにパネルを後付けする際に、ビスを打ってはいけない場所を指示している施工マニュアルがある。ところが、「ちょうどその場所に架台を留める支持金具がきて、ビスを打たざるを得ないことがある」(西島さん)という。

 屋根工事会社であるエバー(東京都品川区)社長の江原正也さんは、化粧スレートと野地板に支持金具のビスを複数打つ施工方法を疑問視する。「金具一カ所に付き10本のビスを打った現場を見た。施工直後はビスや金具に施したシーリングで雨漏りを防げるかもしれないが、シーリングが劣化したら…」と不安を隠さない。

      既存ルーフィングへのビス穴が弱点に

 パネル設置工事と屋根工事を手掛ける平野工業(さいたま市)取締役の平野光男さんが問題視するのは、架台を設置する際にルーフィングにビス穴を開けることだ。 

 平野さんは「雨水が屋根材の下まで回り、ルーフィングで建物への浸入を防いでいる住宅は多い。新しいルーフィングならビス穴の止水性能が効くが、古くなると性能が下がるだろう」と話す。 

 ビス穴の止水方法は、パネルメーカーも改良を重ねている。経済産業省が2007年に作成し、現在改訂作業を進めている「住宅用太陽光発電システム設計・施工ガイドライン」や、それに添付されたクボタ松下電工外装の資料にも、詳細な止水方法が記されている。 

 それでもまだ課題が残っている。「雨水はどこから回ってくるかわからないのに、多くの仕様がビスや金具の周りを対策しているだけで、止水性能が低下しているルーフィングの対策を考えていない」と平野さんは話す。 

 太陽光パネルの設置会社は新規参入者が多い。しかし、施工マニュアルだけでは解決しきれないことや、経験の浅い施工者では難しい工事が山積みだ。とりわけ既存住宅に設置する場合は、屋根工事に詳しい技術者が施工にかかわることが不可欠だろう。 

「住宅用太陽光発電システム設計・施工ガイドライン」にある化粧スレート屋根に関する注意事項
(経済産業省「ソーラー住宅の普及促進に係る課題検討委員会」が作成した「住宅用太陽光発電システム設計・施工ガイドライン」を基に日経ホームビルダーが作成)
(経済産業省「ソーラー住宅の普及促進に係る課題検討委員会」が作成した「住宅用太陽光発電システム設計・施工ガイドライン」を基に日経ホームビルダーが作成)

 

  • 先に支持金具のビス穴を屋根材だけに開け、その周囲の粉塵を掃除機などで吸い取る
  • ビスの長さは垂木の3分の2以上
  • 下葺き材の貫通穴を広げないため、超低速の回転ドリルかドライバーによる手締めとする

 

「カラーベスト屋根に施工される太陽電池に関する設計・施工指針(案)」にある化粧スレート屋根に関する注意事項
(クボタ松下電工外装の「カラーベスト屋根に施工される太陽電池に関する設計・施工指針(案)」を基に日経ホームビルダーが作成)
(クボタ松下電工外装の「カラーベスト屋根に施工される太陽電池に関する設計・施工指針(案)」を基に日経ホームビルダーが作成)

 

  • 上図の色付け部をビス留め禁止範囲とする
  • 新築時に取り付ける場合はスリットのない屋根材を推奨する
  • けらば、軒先部、谷部、隅棟部、壁取り合い部から1m以内はパネルの設置禁止区域とする
  • 支持金具が屋根材に与える荷重は25N/cm2以下とする
  • 支持金具の施工は(1)支持金具の位置決め、(2)留め付けビスの下穴加工、(3)ほこりの除去、(4)防水シートの差し込み、(5)支持金具の仮固定、(6)留め付けビスの順とする
  • 下穴のドリル径はビス径同等、もしくは-0.5mm以内とする
  • 防水シートは厚さ1mm程度の裏面粘着付きのゴムアス系とする
  • 支持金具を固定するビスの間隔は30mm以上
  • 支持金具の裏面に粘着ブチル系シートを張る
  • ビスはパッキン付きとして、屋根材に垂直に打ち込む

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