厚生労働省は2011年度予算の概算要求で、建設雇用改善助成金について前年度比20.4%増の約42億2000万円を計上した。同助成金は、6月に実施した厚労省の行政事業レビューで「一定期間経過後、事業の廃止」の判定結果を受けており、その動向が注目されていた。11年度は「一定期間」には当たらないとの判断だ。
建設雇用改善助成金は、建設事業主などが実施する教育訓練や雇用管理の改善のための事業に対して助成し、建設労働者の能力開発や雇用の安定を図るものだ。
建設事業主が会社か団体か、また事業概要が教育訓練か雇用改善かによって、助成金は四つに分かれている。11年度からは、助成金を利用する事業主の利便性向上のために、より簡素化して2類型に分ける。
一つは、認定訓練や技能実習、新分野教育訓練などを一本化した「建設教育訓練助成金」だ。概算要求では、前年度比27%増の約34億7000万円を計上した。助成の対象は、例えば会社の従業員が技能講習を受講することや、事業団体が学生などのキャリア教育を支援することなどだ。
もう一つは「建設雇用改善推進助成金」だ。要求額は前年度比3.3%減の約7億4000万円。助成金を使用して、新卒者に魅力ある職場環境を整備したり、高齢者の活躍を促進するために、永年勤続表彰を実施したりする。
一方で、実績の上がっていなかった助成メニューを廃止する。就業機会確保のために必要な教育訓練を実施した際、支給していた経費や賃金の支援がなくなる。
そのほか、助成金の支給業務を実施している雇用・能力開発機構の廃止が決定していることから、支給業務を都道府県に移管し、必要な相談員を配置する。
11年度からは厚労省と国土交通省の両省で検討組織を立ち上げる。行政事業レビューでの「省庁横断で出口戦略に基づいたマクロの議論をまず行うべき」とのコメントに基づいて、建設産業の将来像について検討する方針だ。
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