経営事項審査の審査基準の改正 / 国土交通省

公共工事を受注しようとする建設業者の経営を事前に評価する経営事項審査制度については、近年の建設投資の減少とそれに伴う競争の激化等を踏まえ、公共工事における適正な企業評価を実施する観点から、従来にも増して企業実態をより適正に評価できる仕組みに改善していくことが重要となっています。
このため、本年3月に発表した「入札契約制度の更なる改善」に基づき、中央建設業審議会において審査基準の改正について審議を行う(7月26日取りまとめ)とともに、虚偽申請防止対策の強化について検討を行ってきました。今般、これらの審議・検討の結果を踏まえ、以下のとおり、経営事項審査の審査基準について、ペーパーカンパニー対策など評価の適正化の観点、現下の社会経済情勢を踏まえた多様なニーズへの対応の観点から所要の改正を行うとともに、虚偽申請防止対策の強化のための運用面の改善を図ることとしましたのでお知らせします。

1.審査基準の改正内容

(1)技術者に必要な雇用期間の明確化
技術者の名義借り等の不正を防止するため、評価対象とする技術者を「審査基準日以前に6ヶ月を超える恒常的雇用関係のある者」に限定する。
また、高年齢者雇用安定法に基づく継続雇用制度対象者については、雇用期間が限定されていても評価対象に含める。

(2)完成工事高の評点テーブルの上方修正
  建設投資の減少により平均点が低下している完工高(X1点)及び元請完工高(Z2点)について、今年度の建設投資見込額のもとで平均点が制度設計時の平均点700点となるよう評点テーブルを補正し、全体としてバランスのとれた評価を行うとともに、適切な入札機会を確保する。
この措置により、完工高(X1点)は平均点で約12点の上昇、元請完工高(Z2点)は平均点で約91点の上昇となる。

(3)再生企業に対する減点措置

債権カット等により地域の下請企業等に多大な負担を強いた再生企業(民事再生企業及び会社更生企業)について、社会性等(W点)の評価で、以下の減点措置を創設する。
○ 再生期間中(手続開始決定日から手続終結決定日まで)は、一律マイナス60点(「営業年数」評価の最高点)の減点
○ 再生期間終了後は、「営業年数」評価はゼロ年から再スタート
   なお、この措置は平成23年4月1日以降に民事再生手続開始又は会社更生手続開始の申立てを行う企業から適用する。

(4)社会性等(W点)の評価項目の追加
    1.  建設機械の保有状況
地域防災への備えの観点から、建設機械抵当法に規定する「建設機械」のうち、災害時に使用される代表的な建設機械(ショベル系掘削機、ブルドーザー及びトラクターショベル)について、所有台数に応じて加点評価を行う。(一台につき1点、最高15点)
なお、建設機械のリースが増えてきている現状を踏まえ、経審の有効期間(1年7ヶ月)中の使用期間が定められているリースについても、同様に取り扱う。
    2.  ISOの取得状況
多くの都道府県等が発注者別評価点で評価しているISO9001及びISO14001の取得状況について、受発注者双方の事務の重複・負担の軽減を図るため、経審の評価項目に追加する。(片方で5点、両方で10点)
2.虚偽申請防止対策の強化

経営事項審査の公正性を確保するため、虚偽申請防止対策の強化について次のとおり運用面の改善を行う。今後は審査行政庁(国及び都道府県)及び経営状況分析機関の確認事務がそれぞれ強化されるとともに、経営状況分析に係る異常値情報が審査行政庁に情報提供されるなど、双方の連携強化が図られる。

(1)経営状況分析機関が行う疑義項目チェックの再構築
各経営状況分析機関が実施している異常値確認のための疑義項目チェックについて、倒産企業や処分企業の最新の財務データ等を用いて指標や基準値の見直しを行う。また、一定の基準に該当する申請については、審査行政庁に直接情報提供する仕組みを創設する。

(2)審査行政庁が行う相関分析の見直し・強化
各審査行政庁が実施している完工高と技術職員数値の相関分析について、最新のデータに基づいて基準値の修正を行う。また、完工高が極端に大きい申請に加えて、新たに完工高に比べて技術職員数値が極端に高い(技術者の水増しの可能性がある)申請の抽出も開始するなど、運用を強化する。

(3)審査行政庁と経営状況分析機関との連携強化
各審査行政庁では、新たに経営状況分析機関から提供される情報((1)後半)も活用して適切に重点審査対象企業を選定し、証拠書類の追加徴収や原本確認、対面審査、立入等を効果的に行う。また、経営状況分析部分に係る確認のための調査手順書を改訂する。

3.今後のスケジュール

 関連省令等の公布:平成22年10月15日
施行:平成23年1月1日(虚偽申請防止対策の強化の部分)
 平成23年4月1日(審査基準の改正の部分)

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