施工プロセス検査導入 高難易度・長工期・大規模工事対象 国交省 / 建設通信

 国土交通省は、日々の施工状況確認と高頻度の部分検査を組み合わせる「施工プロセスを通じた検査」について、2010年度以降、難易度が高く、工期が長い大規模工事で導入することを決めた。また、同検査における発注者の監督職員と品質検査員の業務分担を見直す。3日に開いた「直轄事業の建設生産システムにおける公共事業の品質確保の促進に関する懇談会生産性向上検討部会」(部会長・福田昌史高知工科大客員教授)で報告した。

 「施工プロセスを通じた検査」は、日々の施工状況確認と高頻度の部分検査を組み合わせる手法で、受発注者のコスト意識向上などを目的としている。部分検査段階で出来高部分払いを実施することが制度の原則となっているものの、現状は出来高部分払いを実施していない案件が多い。受発注者双方に既済部分検査の準備に手間がかかることや検査対応による工程への影響、部分払いから完成検査後の支払いまでの期間が短いことなどが理由となっている。

 国交省は、8月に既済部分検査の手間を軽減するため、検査書類や検査体制の簡素化を示した「施工プロセスを通じた検査における既済部分検査実施要領(案)」を作成した。ただ、出来高部分払方式の実施状況を調査した結果、単一工種や工期が長い工事などでの採用が多いことから、▽「指定材料確認」や「段階確認」が多い工事▽難易度が高い工事▽大規模で工期の長い工事――で「施工プロセスを通じたい検査」を導入することにした。

 監督職員と品質検査員の業務分担は、通常の場合、監督職員が日々の段階確認と指定材料の確認を実施し、検査員が中間技術検査を実施している。施工プロセスを通じた検査では、検査員が施工プロセスの確認と既済部分検査を担う一方で、監督職員も段階確認と指定材料確認を実施することになり、監督職員の業務増大や受注者の混乱などを招いていた。

 このため、段階確認や指定材料確認などは検査員の業務とし、検査員から報告を受けた監督職員が必要な指示を受注者に出すことにした。

 生産性向上検討部会では、委員の國島正彦東大大学院新領域創成科学研究科教授が「今の請負契約では、監督は発注者の役割ではない」とし、田崎忠之日本高速道路保有・債務返済機構理事長代理も「請負者が品質管理した結果が発注者の検査に生かされていない」などと同調、監督業務の抜本見直しを求めた。

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