技能者確保で業界ヒアリング結果 / 建設工業新聞

 国土交通省は、建設技能労働者の人材確保について元請企業や専門工事業団体に対して実施したヒアリングの結果をまとめた。それによると、元請企業、専門工事業ともに、就業者の高齢化と若年入職者の減少が進行し、将来は技能者の人材不足が起きると指摘。ダンピング受注の激化で労働者に賃金などの処遇面でしわ寄せが生じている現状を踏まえ、人材確保には技能者の待遇改善や建設業の魅力向上に取り組む必要があるとの意見が目立った。
 国交省は29日に開いた有識者会議「建設技能労働者の人材確保のあり方検討会」にヒアリング結果を提示した。検討会はこの結果を参考に議論を展開する。ヒアリングは、9月30日~10月19日に元請企業12社(日本建設業団体連合会関係8社、全国建設業協会関係4社)と専門工事業12団体(躯体系、仕上げ系、設備系、土木系の各3団体)を対象に実施した。質問は、▽建設技能労働者の人材確保の方向性▽将来を担う中核的な技能労働者の確保方策▽中核的な技能労働者の育成・評価・活用方策▽労働環境の改善▽人材を大切にする下請企業の評価-の5項目。
 ヒアリング結果によると、元請け12社と専門工事業12団体のすべてが、現時点で技能労働者の不足感はないが、将来的には不足が見込まれると指摘。特に優秀な職人、職長となる人材の確保が必要とした。処遇低下の要因は工事量の減少と競争激化による低価格受注・ダンピングだとし、「低賃金で職人のなり手がいない」(専門工事業)との意見があった。
 特に中核となる建設技能労働者の確保では、「入職後の将来ビジョンといったキャリアパスの提示が必要」(元請け)、「国や団体での建設業のイメージアップ、社会的地位向上が必要」(専門工事業)と回答が寄せられた。技能労働者の育成・評価・活用方策として、生産性向上のための職長教育の実行(元請け)、多能工の育成や教育訓練助成の必要性(専門工事業)を指摘する声が多く、優秀な人材確保のためには「現場での就労履歴管理の共通化が必要」(元請け、専門工事業団体)との意見が上がった。建設労働者の雇用と賃金では「工事量が一定であれば人を抱えられる。工事の平準化が必要」(元請け)などの意見が出された。

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