リサイクルを促進する 3つの認定制度 / ECO JAPAN

廃棄物処理法は、焼却・最終処分される廃棄物だけでなく、多くの場合、再生・販売されるリサイクル可能物にも適用されます。リサイクルを合理的かつ効率的に進めるには、廃棄物処理業の枠にとらわれず、製造業や動脈物流との連携を進める必要があります。それには、廃棄物処理法の規制緩和が欠かせません。

業や施設の許可を不要に

 1970年の法制定時からある「専ら物(もっぱらぶつ)」は、規制緩和措置の1つです。古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維の4品目は、法制定前からリサイクルの仕組みが既にあったため、収集運搬の許可を不要にしました(第7条第1項、同第6項、第14条第1項、同第6項のただし書き)。

 これに対し、90年代に入ってから政策的にリサイクルを進めるために、「再生利用認定制度」「広域認定制度」「再生利用指定制度」の3つが導入されました。

(1)再生利用認定制度

 環境大臣が認定した特定の再生方法について、運搬および処分業の許可と処理施設設置許可を不要にするもので、企業単位ではなく事業所ごとに認定されます。97年の法改正によって創設されました。

 対象になる廃棄物は、環境大臣が告示によって個別指定したものだけです。現在、廃ゴムタイヤ、建設汚泥、廃プラスチック、廃肉骨粉、シリコン含有汚泥、廃ゴム製品を対象とし、産業廃棄物については46件が認定されています(2006年9月4日時点)。

 認定の対象になる廃棄物が限られるため、複合素材の商品廃棄物には不向きです。同様に、認定される再生方法が限定されているため、新しいリサイクル技術の開発や市場開拓が難しいという欠点があります。

(2)広域認定制度

 製造者、販売者、運送業者、処理施設の連携によって、広域的なリサイクルを促進するための制度です。97年に作られた「広域再生利用指定制度」を基に、2003年の法改正で創設されました。

 認定を受けると、運搬および処分業の許可が不要になり、動脈物流を活用して広域で処理体制を構築できるというメリットがあります。審査は厳しく、申請のために多くの書類を提出しなければならず、通常1年以上の準備期間が必要だといわれています。

 現在、産廃については95件が認定されています。パソコンなどの情報通信機器、石膏ボード、蛍光ランプ、小型充電式電池、原動機付き自転車、FRP船、消火器など多種多様な品目が対象になっています。

 半面、いくつかの問題点も指摘されています。

 まず、硬直的な認定制度が動脈物流の実態と合わない点が挙げられます。例えば、顧客は販売店に回収を依頼することが多いため、販売店が回収の窓口にならざるを得ません。しかし、代理店や販売店などはその時々で変化します。これをどのように処理体制に組み入れるのかの判断は、非常に難しいです。

 運送業者の選定でも同じことが言えます。動脈物流では通常、下請けを活用して業務を効率化しています。どこまでを認定の対象にするのかは大きな問題です。

 さらに、他社製品の取り扱いに関する規定が不明確であることも、実務上の課題です。

 サプライチェーンを活用したリサイクルは今後、重要になると思われます。販売者を中心に位置付け、動脈物流のルールに則した広域再生でなければ、合理的な回収は不可能です。制度を簡素化するとともに、宅配便などで消費者が気軽に活用できるような柔軟な運用が必要です。

(3)再生利用指定制度

 都道府県知事の指定によって、運搬と処分業の許可を不要にします。94年の廃棄物処理法施行規則の改正で導入されました(施行規則第9条第2号、同第10条の3第2号)。これ以外の2制度が大臣認定であるのに対し、再生利用指定は知事の認定であることが大きな違いです。

 さらに、再生利用指定制度では、リサイクル品の利用現場や利用方法までが審査の対象になる点が、大臣認定制度とは大きく異なります。リサイクル品の流通や利用が限定されてしまうため、企業にとっては使いにくい制度です。一方の知事にとっても、廃棄物の処理方法の適切さだけではなく、リサイクル品の品質や利用方法まで審査しなければならず、責任が重すぎます。このため、十分に活用されていません。

 環境省は2006年7月4日、「建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方について」の通知を出しました。これは、国土交通省が建設汚泥の再生利用を促進するためのガイドラインを策定したことに対応するものです。

 建設汚泥をリサイクルした建設汚泥改良土は、建設残土と市場で競合するため、有償売却が難しくなっています。そこで、再生利用指定制度を使って、公共工事で活用しようと考えたのでしょう。しかし、建設汚泥改良土の用途や品質まで知事が確認するのは難しく、この制度が生かせるのかは疑問です。

区分を越えて施設活用

 このほか、いわゆる「あわせ産廃」と「同様の性状を有する一般廃棄物の処理届け出」があります。

 あわせ産廃は、市町村が必要だと認めた場合に、一廃処理施設において産廃を受け入れられると規定したものです(第11条第2項)。

 一廃処理届け出は、産廃処理施設の設置者が都道府県知事に届け出ることによって、通常処理している産廃と同じ性状の一廃を受け入れられるとしています(第15条の2の4)。

 いずれも、産廃と一廃の区分にかかわらず、既存の処理施設を活用できるようにした規制緩和です。しかし、一廃の処理は市町村の処理計画を基に実施されているため、特例制度は柔軟に運用されていないのが実態です。

 現在、木製パレットなどが一廃処理施設で受け入れを拒否されているケースがあることから、産廃へ区分を変えることが検討されていますが、まだ結論は出ていません。

 リサイクルのための規制緩和は、事業者や市町村の縄張り争いの観点ではなく、資源の有効活用という広い視野をもって、事業者や消費者の自主的な取り組みを尊重して進めるべきだと思います。現在の制度は、環境省や自治体がお墨付きを与えたものだけが特例としてリサイクルしやすくなるという構造になっているため、十分に機能していません。

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