日経アーキテクチュア2010年11月22日号で既報のように、「姉歯事件で県の責任認めぬ逆転判決」という事態となった。
愛知県半田市の「センターワンホテル半田」を巡る訴訟で、名古屋高裁は2010年10月29日、「建築確認は最後の砦」としていた名古屋地裁の原判決を覆し「建築主事には責任がない」と判断した。ただし、金額的には一審判決のほぼ倍額で当初請求額の約80%が認められた。その全面的な負担を求められることとなった経営コンサルタントの総合経営研究所によって、上告されることが決定的となった。誌面に添えられた写真の中で、この泥沼から当分浮かび上がれないことを知り、肩を落としうなだれるホテルのオーナーの姿に、かける言葉もない。
高裁は判決文の中で「建築基準法は、建築主事に網羅的な審査を要求していない」と指摘している。現在の建築士法6条4項によれば「建築物の建築に関する申請及び確認」について、「建築主事は(中略)申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合したときは、当該申請者に確認済証を交付しなければならない」としている。姉歯事件後の改正によっても、その内容が変わったわけではない。
確かに、法文には網羅的に審査の内容は規定されていない。けれども、建築物の計画が建築基準関係規定に適合しているかどうかを、“適当に審査してよい”とも規定されていない。これはむしろ倫理の問題である。
他人に迷惑をかけたら償う
民法709条を引き合いに出すまでもなく、自分のミスによって、他人に迷惑をかけた場合には、謝罪するなり、与えた損害を償うことは人間として当たり前の話であって、そのような事を巡って法廷闘争しなければならないこと自体が問題なのである。そして、一度こうした問題が法廷において争われることになると、屁理屈の応酬の末に、どこかでねじ曲がってしまい、時としてあらぬ方向へ結論付けられてしまう。過去の判決文の中には、いくらでも現れるが、「職業倫理にもとる行為である」と断罪することも可能だ。
そもそも、どんな役人にしても、法律の中でその職務の内容が網羅的に規定されるなどということがあるはずもない。そうしたことは服務規程などの中で定められ、法律は総括的な規定にし、総括的に責任を負うルールのはずである。確認申請書類上に現れた、建築物の安全性を確保する上で最も重要な構造上の欠陥を、審査の過程で見落しても責任がないなどということが、まかり通るのであれば、確認審査の持つ意味がまったく失われてしまう。
裁判所は、判決文の別の個所では「設計思想の当否」などというわけの分からないことを言い出している。建築雑誌のタイトルとするならば分からないことはないが、奇異な発想である。構造計算書が間違っていた。それも偽装されていた。これは思想の問題ではない。もちろん経済設計というのでもなく、犯罪行為そのものが行われたのである。そして、多分、なるべく安く仕上げてくれと言った以外には、何の罪もない建築主を立ち直れないほどの被害者にしている。
「『法令遵守』が日本を滅ぼす」の著者である郷原信郎氏の受け売りとなるが、これで本当に法治国家と言えるのであろうか?それとも、検察庁で、証拠書類が改竄される国であるから、運の悪い人には何が起きても仕方がないのであろうか・・・。
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