建設業の半数は2011年度も賃金改善が「ない」 / 日経BP

民間信用調査会社の帝国データバンクは2月3日、2011年度の賃金動向に関する企業の意識調査の結果を発表した。2011年度に賃金改善が「ない(見込みを含む)」と答えた建設業の割合は、「その他」の業界を除いて最も高い48.5%。2010年度とほぼ同じだった。「ない」とする割合が4割を超えるのは、2008年度から4年連続。

●賃金改善が「ない」とした建設業の割合の推移
(資料:下も帝国データバンクの資料を基に日経コンストラクションが作成)
(資料:下も帝国データバンクの資料を基に日経コンストラクションが作成)

 2011年度に賃金改善が「ある」と答えた企業の割合は、調査した全10業界の平均で37.5%。2010年度の調査結果を5.7ポイント上回った。これに対して、建設業で「ある」と答えた割合は2010年度より1.5ポイント増の25.0%。全体の平均を12.5ポイント下回り、金融とその他の業界に次いで3番目に低かった。

 「ある」と答えた東京都の土木建築サービスの会社は、「2年にわたって緊縮体制をとってきているので、モチベーションをアップするために改善が必要」との意見を寄せた。

●賃金改善が「ある」とした建設業の割合の推移

 賃金改善が「ある」とした企業に、改善する理由について複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは全体の56.2%が挙げた「労働力の定着・確保」。次いで多かったのは、同50.5%が挙げた「自社の業績拡大」だった。例えば岡山県の建設会社は、「社員のスキルアップによって、質的な向上を図るために賃金を改善する」としている。

 一方、賃金改善を実施しない理由で最も多かったのは、「自社の業績低迷」。「ない」と答えた企業のうちの73.8%が挙げた。帝国データバンクは、「企業の業績を背景として賃金改善の有無が分かれる結果となった」と分析している。

 2011年度の労働条件の方針を決めるに当たって最大の焦点を尋ねたところ、建設業で最も多かったのは「雇用および賃金」で34.1%。これに、「賃金」が24.5%で、「雇用」が22.0%でそれぞれ続いた。いずれの値も、全業界の平均との差は1ポイント以内に収まっている。

●業界別で見た2011年度の賃金改善の意識
賃金改善が「ない」と答えた割合は、「その他」の業界を除いて建設業が最も高い。黄色い網掛けは全体の平均以上を表す(資料:帝国データバンク)

 帝国データバンクが賃金動向に関して意識調査するのは2006年以来、6回目。今回は2011年1月19日から31日にかけて、全国の2万3356社を対象に調査。1万1017社から有効回答を得た。このうち、建設業は1526社だった。

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