建設産業戦略会議 / 建設工業新聞

国土交通省が設置した建設産業戦略会議(委員長・大森文彦東洋大教授・弁護士)が、業界団体からのヒアリングを終え、具体的な政策の議論に入る。7日の会合で全国中小建設業協会(全中建)や日本建設業経営協会(日建経)、海外建設協会(海建協)など6グループへのヒアリングを行い、前回を含め10グループからの意見聴取を完了。建設市場の実態を踏まえ、できる限り定量分析を加えた上で、建設産業の再生と発展に向けた政策を立案する。
 同会議は1月6日に「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」をまとめ、具体策を検討するため2月3日から業界団体へのヒアリングに入っていた。7日にヒアリングを行ったのは3団体のほか、▽日本道路建設業協会(道建協)▽日本空調衛生工事業協会(日空衛)・日本電設工業協会(電設協)グループ▽建設産業専門団体連合会(建専連)傘下の日本建設躯体工事業団体連合会(日本躯体)、日本建設大工工事業協会(日建大協)、全国管工事業協同組合連合会(全管連)、全国基礎工業協同組合連合会(全基連)グループ。
 道建協は、一般競争入札で価格競争が強化されると、アスファルトプラントなどの設備を抱える企業が立ち行かなくなると実情を説明。道路建設業の産業構造は、大手建設業と地域建設業の仕分けにはなじまないと訴えた。日空衛と電設協は低価格によるダンピング受注対策の徹底や、基幹技能者などの人材確保・育成の強化、分離発注の推進を求めた。中堅建設業団体である日建経は、会員の多くは発展過程にあり、誠実で小回りの効く企業群であると特性を説明。大手に比べれば開発力や人材は小規模だが劣っているわけではなく、地域経済に与える影響も小さくないと強調し、中堅建設業への正当な評価と適正な競争環境の整備を求めた。
 自由討議では各委員から業界団体の要望に対し、「バックデータが整理されていない」「事務局はきちんとした論理立てを行ってほしい」といった意見が相次いだ。このため国交省は21日の次回会合で、建設産業の過剰供給構造や地域建設業と地域経済の疲弊の相関など、建設市場の実態調査の内容を報告。3月の中間取りまとめに向け政策の項目などを提示して議論を行う方針だ。

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