普通ガラスに貼るだけで20分耐火 / 日経BP

厚さ6~10mmの一般的な普通板ガラスの両面に透明なフィルムを貼るだけで、20分間の遮炎性能を持つ防火設備になる――。清水建設は2月24日、こうした防火フィルムを開発し、国土交通大臣の一般認定を取得したと発表した。4月をめどに販売を始める。

 新築、改修を問わずに利用できる。「避難経路に面したガラス間仕切りに、意匠性を損なう網入りガラスや高価な耐熱強化ガラスを使わずに済む。後貼り施工ができ、設計の自由度も高まる」と同社技術研究所高度防火システムグループ長の広田正之氏は話す。

 防火フィルムは、厚さ1mmのケイ酸ソーダ系の防火基材の表面をポリエチレンテレフタレート(PET)系の保護フィルムで覆ったもの。ガラス面に水を噴霧した後、ローラーなどを使って防火フィルムを押さえ付け、密着するだけでよい。防火フィルムの外周は、一般的なシール材でふさぐ。

 防火基材は110℃以上の熱に接すると発泡して膨張し、厚さ3~4cmの保護層をつくる。粘着力でガラスのひび割れや脱落も防ぐ。

 耐熱強化ガラスと比べて遮熱性能が高まることも特徴だ。火災でガラスの表面温度が500℃に達しても、反対側のフィルムの表面は100℃程度にしかならない。

 販売はプラスチック製品などを扱うSVC(栃木県佐野市)が担う。当初は幅90cm、高さ2.7mのガラス間仕切りに対応した防火フィルムを販売。順次、大きさの種類を増やす。価格は、普通板ガラスと防火フィルムの材料費の合計が、耐熱強化ガラスの半分程度となるように抑える。

耐火試験後のガラス

耐火試験の様子。加熱から20分後の状態。火災発生とは反対側から見る(写真:清水建設)
耐火試験の様子。加熱から20分後の状態。火災発生とは反対側から見る(写真:清水建設)

 

耐火試験後の火災発生側のガラス面。防火基材が白く発泡して膨張している。黒い部分は、熱で溶けたPET系保護フィルム(写真:日経アーキテクチュア)
耐火試験後の火災発生側のガラス面。防火基材が白く発泡して膨張している。黒い部分は、熱で溶けたPET系保護フィルム(写真:日経アーキテクチュア)

 

火災発生とは反対側のガラス面。発泡した防火基材が断熱材の役割を果たすので、フィルムの表面は100℃程度にしかならない(写真:日経アーキテクチュア)
火災発生とは反対側のガラス面。発泡した防火基材が断熱材の役割を果たすので、フィルムの表面は100℃程度にしかならない(写真:日経アーキテクチュア)

 

耐火試験後のガラスの断面を見る。ガラスの両面に貼った防火基材がそれぞれ厚さ3~4cmに膨張している(写真:清水建設)
耐火試験後のガラスの断面を見る。ガラスの両面に貼った防火基材がそれぞれ厚さ3~4cmに膨張している(写真:清水建設)

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