防災訓練の課題が浮き彫りに

 改正消防法の2009年施行によって、高層ビルでは従来の火災中心の対策から、震災にも対応できる防災訓練の実施が義務付けられた。西新宿の高層ビル街で取り組みを進めてきた工学院大学建築学部の久田嘉章教授は、「様々な課題が明らかになった」と震災当日を振り返る。

 地上29階建て、高さ143mの同大学新宿キャンパスでは、3月11日の地震発生時、大きな揺れに見舞われた。揺れは5分以上続き、エレベーターは全機が停止。高層階での天井板の落下や、低層棟とのエキスパンション・ジョイント部の内装材の剥落、転倒防止策をしていなかった本棚が倒れて間仕切り壁を変形させる、などの被害を受けた。

工学院大学新宿キャンパスの構内。天井板が落下した模様(写真:工学院大学)
工学院大学新宿キャンパスの構内。天井板が落下した模様(写真:工学院大学)

 防災訓練での想定と、実際の地震では異なる点が多々あった。訓練では各フロアで安否確認した後、低層階へ避難するという計画だった。しかし3月11日の発災後は、避難を誘導しなかった。「余震が続くなか、階段で避難するよりもその場にとどまる方が安全と判断した。火災さえ発生しなければ、慌てて全館避難する必要はない」と久田教授は説明する。

 盲点だったのが、非常食などの備蓄品の保管場所だ。低層階への避難を前提にして、地上4階に一括して備蓄していたため、25階の研究室から階段を使って取りに行った。「周囲にはもっと高層のビルもある。特定の階に集まる、といった避難計画では対応できない。3日ぐらいはそのフロアで待機できるように計画を見直す」(久田教授)

工学院大学の4階で、学内の待機者や帰宅困難者に備蓄品を配布する(写真:工学院大学)
工学院大学の4階で、学内の待機者や帰宅困難者に備蓄品を配布する(写真:工学院大学)

 また久田教授は、次のようにも指摘する。「建物が本当に安全かどうか。高層ビルの防災センターには、震災による被害状況をモニターできる機能が必要だ。煙感知器などの火災対策は進んでいるが、震災の面では後手に回っている」

帰宅困難者対策も見直しを

 東京都は07年度から、地元自治体や周辺事業者で構成する協議会を中心として、駅前滞留者対策を主導してきた。工学院大学は新宿駅周辺地域防災対策協議会の一員として、防災に関するセミナーや講習会、訓練などを催してきた。しかし駅前滞留者や帰宅困難者への対応の面でも、改善点が浮かび上がった。

 例えば、計画では同大学の1階に協議会の参加事業者が集まって、情報のハブとなる現地連絡本部を立ち上げる手順だったが、実際には立ち上げられなかった。事業者はそれぞれ対応に追われており、人を送り出す余裕がなかったからだ。新宿駅同様の滞留対策を進めた渋谷駅や上野駅でも、周辺事業者による現地本部は設置できなかった。

 工学院大学では、新宿駅から移動してきた帰宅困難者を、地階のホワイエや1階のアトリウムで受け入れた。最終的には約700人を受け入れ、水や食糧、毛布などの備蓄品や、鉄道運行情報を提供した。周辺地域でも、都庁をはじめ周辺の高層ビルや区の施設などで、各々の判断で帰宅困難者を受け入れたものの、情報が共有されず受け入れ状態に偏りを生じた。「発災直後に人を集めるのは現実的ではないと改めて分かった。災害時有線電話や事業者間の無線LANなどのホットラインを立ち上げて連絡を取り合う、というのが現実的だろう」と久田教授は話す。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大阪府行政書士会 旭東支部所属 (大阪市都島区・鶴見区・城東区・旭区)            東洋法務総合事務所の B l o gへようこそ。

当事務所は大阪府大阪市城東区にある行政書士事務所です。            建設業許可に関する全般(新規・更新申請・経営事項審査・入札参加資格審査・業種追加・決算変更届など)・産業廃棄物収集運搬業許可や電子定款認証に対応した法人・会社設立を専門に取扱う行政書士事務所です。補助金や助成金または決算などについても他士業(弁護士、弁理士、司法書士、税理士、社労士、土地家屋調査士など他多数)と提携していますので連携してサポートすることが可能でワンストップサービスの実現を目標に日々励んでおります。

ホームページに戻る                                      →  https://www.to-you-lawyer.com/  こちらをクリックしてください。

大阪府行政書士会会員 建設業許可の全般、法人(会社)設立の専門 行政書士 東洋法務総合事務所は大阪市城東区にある行政書士事務所です。 行政書士 東洋法務総合事務所のトップページに戻る
〒536-0006 大阪府大阪市城東区野江2丁目3番4号

TEL.06-6786-0008 FAX.06-6955-8923                                                                                                   お電話でのお問合せ受付時間 / 平日9:00~18:00                                 (土日祝は、原則として休業させていただいております)

タイトルとURLをコピーしました