総価契約単価合意・国交省調査 / 建設通信新聞

国土交通省は、河川、道路などすべての直轄土木工事で2010年度から導入した「総価契約単価合意方式」の実施状況をまとめた。受注者の7割超が同方式での契約変更でメリットを感じており、そのうち6割超が契約変更時に落札率を単価に掛けて一律で圧縮する方式ではなくなった点を特に評価した。一方、協議や積算などの手間、同方式の浸透などが課題に挙がっており、今後、改善策を検討する。

          
 国交省は3月中旬から4月中旬に、408工事を対象に受発注者に対してアンケート調査を実施。有効回答数は発注者が396工事、受注者が390工事だった。

          
 直接工事費や共通仮設費の単価を受発注者が協議して合意する「個別合意方式」では、受注者側(156件)の16%が「すべて受注者の考えていた単価での合意だった」と回答し、「合意した単価全体のおおむね7割以上が受注者の考えていた単価だった」との回答を合わせると82%に上った。発注者側(161件)でも8割を超える案件が、官積算のプラスマイナス10%以内で合意しており、受注者の単価と発注者の官積算単価がほぼ近い価格であることが分かった。

                  
 受注者の73%が変更契約における総価契約単価合意方式(個別合意)にメリットを感じていた。メリットを感じた受注者の61%が、変更契約時に単価に落札率を一律で掛けて圧縮することがなく、実態に合った契約になることを評価した。工事途中に変更を含めた最終額の見当を付けやすくなることにメリットを感じている受注者が52%、変更金額などの把握がしやすいとの回答も51%に達した。
 同方式の課題は、発注者側の回答(143件)のうち53%が「受注者単価の妥当性検証が難しい」とし、49%が「協議・関係資料の作成に時間・手間がかかる」と答えた。受注者側(136件)が挙げた課題は、「単価の妥当性の説明が難しい」が25%。合意までにかかった日数は、発注者側回答(162件)のうち、14日以内の合意が89%に達した。

                    
 単価協議時に受注者が発注者に示してほしいと考える資料は、全157件の回答中83%が「特別調査、見積もりなどの積算資料」と回答し、官積算単価の根拠を求める声が多かった。実際に発注者が受注者に提示した資料は全150件の回答中67%が「工事構成書だけ」だった。「特別調査、見積もりなどの積算資料」を提示したのは10%だった。

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