環境省は、2011年度の環境配慮契約法基本方針検討会(座長・山本良一国際グリーン購入ネットワーク会長)の初会合を12日に開き、「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」(環境配慮契約法)に基づく基本方針と解説資料の見直しに着手した。基本方針に示す5つの契約類型に「廃棄物処理委託契約」を新たに加える方針で、「一般廃棄物でなく、産業廃棄物をターゲットにする」(総合環境政策局)ことを決めた。また、省エネルギー改修事業(ESCO=エネルギー・サービスカンパニー=事業)契約は、解説資料の記述を見直す。
検討に当たっては、廃棄物とESCOの2つのワーキンググループ(WG)を近く設置し、集中的に議論を進める。廃棄物WGには、ゼネコン関係者も参加する。検討会は、11月に予定している次回会合で基本方針案と解説資料案の中間報告をまとめ、一般から意見を募るパブリックコメントを実施した上で、12年1月に検討会報告をまとめる。見直し後の基本方針は、同年2月の閣議決定を予定している。同時期に改定解説資料も策定し、同年4月から国や独立行政法人の契約実務に反映する。環境省は閣議決定を受け、同年2月から3月に都道府県向けに新たな基本方針などの説明会を開き地方自治体への普及を図る。
廃棄物処理委託契約を基本方針の契約類型に追加することは、改正廃棄物処理法により優良産廃処理業者認定制度が創設されたことが背景にある。国や自治体は環境保全に積極的に取り組む優良認定業者を評価し、率先して委託契約者として選択すべきとの方針が打ち出されている。しかし、現状の廃棄物処理契約の多くは「もっぱら最低価格落札方式により選定され、優良認定業者を評価する仕組みにはなっていない」(総合環境政策局)という。このため、国や独立行政法人の事業活動に伴って生じる産廃の処理委託で、温室効果ガス削減などを推進する事業者を優良認定事業者として積極的に選択し、事業者の育成と廃棄物の適正処理、環境保全につなげる必要があると判断。これらの取り組みに努める事業者を積極的に評価する方法を検討する。
WGでは、事業者を評価・選択するための要件を整理し、自治体の先行事例も参考にしながら評価方法を固めていく。また、適正処理だけでなく、発電用としての処理を推し進め、結果として化石燃料の使用を抑えてCO2削減につながるような評価方法も探る予定だ。
一方、ESCO事業契約の解説資料は現在、国土交通省の『官庁施設のESCO事業実施マニュアル』をもとに作成している。ことし5月に同省は、マニュアルを設備更新型ESCO事業が数多く採用されるよう再改定した。このため、WGで改定マニュアルの内容を解説資料に適切に反映させるよう記述を見直していく。
検討会では、自治体の環境配慮契約を一層推進するため、『地方公共団体のための環境配慮契約導入マニュアル』を改定することと電気供給契約の当面の方針も決めた。また、環境省が6月にまとめた自治体の環境配慮契約アンケート結果と国や独立行政法人などの10年度環境配慮契約実績(速報)を報告した。
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