首長は厳しい選択と決断必要/安全・安心の国土づくりへ
2011年3月11日の東日本大震災発生から半年が経過した。いまだに多くの行方不明者の捜索が続く中、特に大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の東北3県の各被災地では復旧・復興の障害となっていたがれき処理の道筋もつき始めた。政府は復興への予算として5年間で19兆円(1次・2次補正の6兆円含む)程度を充てることを決めた。実際に復興を担う被災自治体でも、福島原発事故の影響を受ける自治体を除けば、復興計画と位置付ける具体的な事業メニューがそろい始めた。半年間の取材の中から浮き彫りになった課題を通じて、今後の復興に必要なキーワードを探る。
「国は、地方公共団体、民間などとも連携し、仮設住宅の建設などにより早急に避難所を解消するとともに、仮設住宅における生活環境の改善、災害廃棄物の処理、ライフライン、交通網、農地・漁港などの基盤などの復旧を急ぐ」
政府の東日本大震災復興対策本部は、8月11日に改定した『復興基本方針』で、こう国の基本的考え方を明示した。国の財政・制度的支援を視野に、被災県・基礎自治体では具体的な復旧・復興へ向けたアクション・プランづくりが進む。
◆隘路を打開
しかし、被災自治体がそれぞれ進める復興計画が、隘(あい)路にはまり込む可能性も否定できない。
隘路の根源とも言えるキーワードの一つは、『合成の誤謬(ごびゅう)』だ。
被災自治体で策定作業が進む復興計画は、観光までを視野に入れた震災メモリアル施設、産業誘致を期待する太陽光発電など再生可能エネルギー、特区制度を活用した医療・福祉拠点など個別自治体だけを見ると多彩なメニューとなっている。しかし被災自治体が数多いため、特色であるはずの事業が現時点でも重複するケースが多いのも事実である。
その結果、事業実現化競争に勝ち成功する自治体と負ける自治体、言わば被災地自治体の優勝劣敗の鮮明化に行き着きはしないか。
それこそ泣くに泣けない状況は絶対に避けなければならない。
この隘路を打開するためには、合成の誤謬を修正する意識を国、県、基礎自治体それぞれが持つ必要がある。被災地全体の最適解を導き出すためにである。
◆想像力と決断
さらにもう一つ。国、県、市町村が今後直面しなければならない課題を解くかぎは、『想像力と決断』だ。
先行して復興計画づくりが進む被災自治体の首長にとって将来を踏まえた最大の関心は、「うち(自治体)が今後も存続するためにはなにが必要なのか」の一点に尽きる。
わが国は、05年から15年までの10年間で、生産年齢(15−64歳)人口が761万人減少する一方、65歳以上は802万人増、75歳以上は481万人増という、急激な高齢社会を迎えている。
さらに沿岸部被災地自治体の多くは大震災発災前から、わが国のどこの地域よりも少子・高齢化に伴う経済成長力低下に悩み、社会保障費急増による財政負担増という現実に直面してきていた。復興後、自治体が存続するために必要な産業の振興をどうするのか。そのことが最大の課題なのだ。
集中的な復興作業を進め、防災・減災を重視したインフラ住宅が出来上がっても、街に自立できる産業がなければ衰退するという最悪のケースさえ想定される。
被災地自治体のある首長は、建設業などを念頭に、「だからこそ、復興を集中的に行わず、地元でできる範囲で事業を行いながら、産業を維持することも必要だ」とした上で、「被災自治体すべてが合併せずに存続できるとは思っていない」と本音を打ち明ける。
人口減少と急速な高齢化が進む中で、復興後も住民の生活サービスを維持するために、地元住民と自治体は、集落再編や自治体合併といった選択と決断を迫られる可能性もある。
少子高齢時代を迎え、日本はこれまでの低負担・中福祉の社会保障システム、都市のあり方、経済成長システムなどこれまで指摘され続けてきた問題が、震災を契機に一挙に解決しなければならない局面を迎えた。
被災地復興で問われる、合成の誤謬打開、自治体の決断は、今後の日本に問われている問題でもあることを認識すべきだ。
◆多様性と共助
産業活力、経済成長の維持につなげるために、公助だけに頼らない規制緩和で、1人当たりのGDP(国内総生産)を向上させるさまざまな提案が各方面から出されてきている。
言い換えれば、地域と住民が、自助と共助で自らの生活と地域を存続させる人、モノなどさまざまな多様性(ダイバーシティ)を認め推進させていくことが、震災復興のかぎを握っていると言える。
◆日本新生の突破口
その意味で、東日本大震災の復興とは、被災地域だけの問題ではなく、日本の今後の姿を示す、先行モデルとしてとらえる視点も必要である。復興は日本の再生ではなく新生への突破口と位置付け、今後も復旧・復興の最前線を歩き、全国に伝えていきたい。
この間、復旧と復興への足がかりをつくってきたのは行政、民間問わず建設に携わる人々である。こうした懸命、献身的な足跡を確認しつつ、この国の社会資本整備のあり方、安全・安心の国土づくりも問い直していきたい。
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