建設業者の社会保険加入促進策の一環で、未加入企業が加入手続きを進める際の事務負担軽減を図る動きが出てきた。全国社会保険労務士会連合会は先月、未加入企業が社労士に指導や事務手続きを委託する際の費用を、厚生労働省が13年度創設予定の助成金制度の対象に含めるよう要望。同省もこれを受けて内部で検討を始めた。同連合会の奥田久美専務理事は「建設業界団体からも制度見直しを国に強く働き掛け、企業の負担を軽減する必要がある」と話している。
厚労省は、建設現場で働く技能労働者の高齢化が進み、若年入職者の減少も続いている現状を踏まえ、技能労働者の確保・育成に一段と力を入れる必要があると判断。現行の建設雇用改善助成金を廃止し、「若年労働者の確保・育成」と「技能継承」につながる取り組みを重点的に支援する「建設労働者確保育成助成金」制度を新設する計画を13年度予算の概算要求に盛り込んだ。
新制度の助成メニューでは、若年者に魅力ある職場づくりへの支援では、中小建設業団体が国土交通省と連携して取り組む社会保険加入促進に関する啓発活動が対象になっている。活動経費の3分の2(団体規模に応じて上限1000万~2000万円)を助成する方向で、保険未加入対策に関する説明会や講習会などの取り組みを支援するのが狙いだ。
社労士会連合会では、社会保険未加入企業が社労士に加入の相談をしたり指導を受けたりする場合の経費や、社会保険加入の事務手続きを社労士に業務委託したりする際の費用を、新制度の助成対象に追加するよう厚労省に要望した。建設業では雇用形態が複雑で、保険の事務手続きも煩雑なことが保険加入の阻害要因の一つとなっていることを踏まえ、この分野の専門家である社労士を積極的に活用できる環境整備を求めている。厚労省側の対応は現段階では固まっていないが、社労士会連合会は、保険加入を促進する上で未加入企業の負担軽減は不可欠とみており、関係業界全体で助成制度の拡充を求めていく方針だ。
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