国土交通省は25日、担い手確保・育成検討会の第4回会合を開いた。年度内最後の会合となった今回は、下部組織のワーキンググループ(WG)での今年度の検討成果が報告されたほか、登録基幹技能者の普及策や技能労働者の教育訓練に関する新たな展開を提示した。教育訓練の展開では、元請けと下請けを交えた地域単位の協議組織の設置のほか、訓練施設の集中や連携による訓練機会や入職者の確保につなげる考えを示した。2013年度は施策実現のための実態調査などを進め、具体化への議論につなげる。
検討会では、WGでまとめた建設専門工事業等評価制度の仕組みづくりに向けた基本的考え方や、技能労働者の技能の「見える化」の実現に向けた中間取りまとめが報告された。ほかにも、WGで議論中の「建設産業の魅力を発信するためのアクションプラン案」、登録基幹技能者のさらなる普及に向けた方策、技能労働者に教育訓練の新たな展開が示された。
登録基幹技能者の普及方策では、主に▽位置付けの明確化▽制度の広報▽公共工事での制度活用の促進▽有資格者増加に向けた対策--の4項目をまとめた。国交省が実施した調査結果では業界内での制度の認知がまだ低い状況が示されたため、登録基幹技能者の配置による施工品質や安全面での効果や、入札制度での活用状況をPRする方向性を示した。また5年ごとの更新の際に最新の技術や法令の習熟をチェック、それを発信することで登録基幹技能者の信頼性向上や資格取得への意欲増進につなげる。都道府県などに総合評価方式で配置を評価項目に設定してもらうなどの活用の促進策を取ることも示した。
教育訓練の新たな展開策としては、元請けと下請けが連携して人材育成を協議する場を地域ブロック単位で設けることを提案。各地方整備局、や建設産業専門団体連合会、日本建設業連合会、建設業協会などが定期的に官民で意見交換し、人材育成に向けた問題意識の共有や共同での取り組みの推進の場をつくる。将来的には都道府県単位で協議する場を設けることを目標にする。
また、業界を挙げた人材育成や訓練機会の確保に向け、訓練施設の連携を進めることも提案された。提案は、企業内訓練校の共同利用と、公共職業訓練校と企業などの連携の2つが柱。企業内訓練校の共同利用では、機能を集中させた訓練施設を設け、運営や訓練コースの設定を共同処理することで運営効率を高め、その際に機能を集中させることで複数の職能を持つ技能者を一度に育成する考え。
公共職業訓練校との連携では、企業や業界団体が公共訓練校に訓練を委託するとともに、ハローワークに要請して求職者への訓練を実施することで、即戦力の確保や入職後の定着率向上に目指す案を示した。
このほか検討会では、技能労働者の資格や職歴をデータベースに登録する『見える化』に関連し「社会保険の加入状況などがわかるようになると、企業間でもシステムの評価が上がる」など、早期の構築に期待を示す意見が続いた。「これをきっかけに技能労働者の評価の仕組みも議論するべき」といった考えも示された。
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