国土交通省は、中小建設業者向けの金融支援3事業(地域建設業経営強化融資制度、下請債権保全支援事業、災害対応金融支援事業)の期限を延長する調整に入った。インフラの維持管理や災害対応に当たる地域建設業者向けに、請負代金債権の流動化による資金調達や建設機械の購入資金などを支援するこれら事業はいずれも13年度末で期限が切れる。同省は「企業経営の『質』を重視した支援につながる」(建設市場整備課)とみて継続が必要と判断。それぞれ1年の延長を財務省に申し入れた。
3事業のうち、08年11月に始まった地域建設業経営強化融資制度は、公共工事を受注した元請企業が持つ請負代金債権を事業協同組合などに譲渡し、それを担保に金融機関から転貸融資資金を調達する。公共事業という安定的な債権を流動化することで低利に運転資金を調達できる。公共事業を受注できる財務・技術面で優れた地域企業の資金繰り支援策として定着。7月末までの融資実績は累計1万3374件、約3138億円に達している。
10年3月に始まった下請債権保全支援事業は、下請業者や資材業者が元請企業に対して持つ代金債権の支払いをファクタリング会社が保証。元請企業が倒産して代金を受け取ることができなくなっても、保証金が支払われるので連鎖倒産防止に効果があるとされる。同事業では、債権の相手先となる元請企業について、過去2年の公共工事受注実績や経営事項審査(経審)の受審など、一定の信頼性の高さを条件としており、それが安定運用に寄与している。8月末までの実績は保証債権3万6149件、保証総額1967億7578万円、利用企業は実数で1542社に達している。
業界に浸透しているこれら2事業に加え、本年度に本格スタートしたのが、災害時の応急復旧活動など地域社会の維持に貢献する企業が建設機械を購入する際の金利を助成する災害対応金融支援事業。国や自治体と災害協定を結んでいることが制度利用の条件になっているため、公共団体にとっては、災害時に自ら保有する建機で応急活動に当たる企業を確保する上でも有効だ。同事業では9月末までに225件、総額29億3144万円の建機購入に助成を実施した。期限を延長すれば、中小建設業者の設備投資促進にも役立つ。
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