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 日経ホームビルダーは、住宅の新築やリフォームで発生しがちな顧客からのクレームの内容を知ることで得られる教訓を、「クレームに学ぶ」として連載しています。ここでは、2012年2月号に掲載した内容の一部を紹介します。


 2011年5月頃、50歳代のAさんは、住宅エコポイントの終了が早まることを報道で知った。

 Aさん宅は新築したばかりの木造戸建て住宅だ。仕様は次世代省エネルギー基準のはずなので、住宅エコポイントがもらえると期待していた。しかし、住宅会社のB社からは、その件についてまだ何も言ってきていなかった。制度終了の報道で改めて気になったAさんは、B社に電話して、「もらえるよね」と聞いてみた。

 すると、B社の営業担当者からは思いがけない答えが返ってきた。「A様宅は次世代省エネではなく1つ下のレベルの新省エネ基準です。エコポイントの対象ではありません」

(イラスト:柏原昇店)

 

ウェブサイトにだまされた?

 「話が違うじゃないか」とAさんは憤慨した。B社を選んだ最大の決め手の1つが、次世代省エネ基準を採用していることだったからだ。坪単価が約100万円のグレードの高い建物だったこともあって、同基準の実現は当然のことと期待していた。

 B社はウェブサイトで同基準を「推進」するとアピールしていた。標準仕様にしているとAさんは受け止めたが、実際にはオプションに過ぎなかった。Aさんはそのことを担当者に説明された覚えがなかった。

 2011年は電力不足が深刻になり、省エネが日常生活に直結した年だ。エコポイントはともかく自宅の省エネ性能については諦めきれなかったAさんは、消費者向けの住宅相談に当たっているアネシスプランニング(東京都中央区)社長の寺岡孝さんにサポートを依頼した。

 寺岡さんはAさん宅を調査して、壁や天井などを剥がさずにできる改修をB社に提案。受け入れたB社は無償で基礎に断熱材を追加し、窓ガラスや屋根に遮熱措置を施すなどして、省エネについてのAさんの不満をなだめた。

 省エネをめぐる国の施策は刻々と変化している。11年7月末に終了した住宅エコポイントは同年秋に復活したが、ポイント数などは以前と異なる。また、国が定める住宅の省エネ基準は現行の次世代省エネ基準などに加え、20年までに義務化される予定の基準や、それより高レベルの誘導基準も新設される見込みだ。住宅会社はエコポイントや省エネ性能に関して顧客の期待を裏切らないよう、最新情報の把握と分かりやすい説明に努める必要がある。

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Category: 住宅版エコポイント, 建設業 関連  Comments off

2011年度の第3次補正予算で「復興支援・住宅エコポイント」が創設されたが、前回の「住宅エコポイント」もまだポイント申請の期間中だ。それだけに、新旧エコポイントの違いに戸惑う読者も多いのではないだろうか。それぞれのポイント対象となる工事や発行ポイント数、新旧の重複利用などについて、国土交通省住宅生産課課長補佐の田中政幸さんに聞いた。

 ここでは、「住宅エコポイント」を「旧エコポイント」、「復興支援・住宅エコポイント」を「新エコポイント」と呼ぶ。

 対象となる工事期間

 Q:2011年9月にエコ住宅の新築を着工。新エコポイントの対象になる?

 A:新エコポイントの対象にはならない。

 新築の場合、新エコポイントの対象は11年10月21日着工分から。旧エコポイント終了後の11年8月1日から同10月20日までに着工したものは対象外だ。

(資料:日経ホームビルダー)

(資料:日経ホームビルダー)

 

Q:新エコポイントも旧エコポイントと同様に、予定より早く終わる可能性はある?

 A:ポイント申請の状況次第であり得る。

 新エコポイントも旧エコポイントと同様に、申請の状況によっては対象期間が前倒しされることもあり得る。

 対象となる住宅

 Q:旧エコポイントでエコ住宅を新築し、30万ポイントを取得した。今回、同じ家を断熱リフォームしたら、新エコポイントの対象になる?

 A:新築で旧エコポイントを取得済みなら対象外。

 旧エコポイントを取得したエコ住宅に新たにエコリフォームを施しても、新エコポイントの対象にはならない。

(資料:日経ホームビルダー)

(資料:日経ホームビルダー)

 

Q:エコリフォームで旧エコポイントを取得したが、上限の30万ポイントに達していない。もう一度対象となるエコリフォームを行ったら、新エコポイントの対象になる?

 A:新旧合計30万まで取得可。

 旧エコポイントを取得していても、発行ポイントが上限に達していなければ対象になる。新旧合計で上限は30万ポイントだ。なお、エコリフォームに加えて耐震改修を行った場合は、この上限とは別に15万ポイントが発行される。

Q:寝室の断熱改修を実施して、旧エコポイントで30万ポイントを取得。今回、子ども部屋を断熱改修したら、新エコポイントの対象になる?

 A:同じ家の取得上限は新旧合計30万ポイントまで。

 旧エコポイントで上限まで取得した場合は、新たに工事をしても新エコポイントの対象にはならない。ただし、買い替えて別の家をリフォームした場合は新エコポイントの対象になる。

Q:旧エコポイントでエコリフォームを行い、30万ポイントを取得済み。この家を売って新しくエコ住宅を建てたら、ポイントは新たに発行される?

 A:違う家なら対象になる。

 旧エコポイントでリフォームの上限30万ポイントまで取得していても、新たにエコ住宅を建てれば新エコポイントの15万ポイント(被災地以外の場合。被災地は30万ポイント)が発行される。

 対象となる工事

 Q:旧エコポイントでエコリフォームを行い、30万ポイントを取得済み。新エコポイントで加算されることになった耐震改修を行えば、新たにポイントはもらえるか?

 A:耐震改修単独は対象外。

 耐震改修は、エコリフォームと同時に行った場合のみポイントが発行される。 

(資料:日経ホームビルダー)

(資料:日経ホームビルダー)

 

Q:旧エコポイントでエコリフォーム対象工事を実施したが、上限30万ポイントに達していない。今回、太陽熱利用システムを導入したら新エコポイントの対象になるか?

 A:断熱改修と同時でなければ対象外。

 旧エコポイントでも新エコポイントでも、「窓の断熱改修」または「外壁、屋根・天井、床の断熱改修」を行うことが大前提だ(上図)。たとえ旧エコポイントで既にこれらの必須工事を実施していたとしても、新エコポイントの対象となるためには、改めて必須の工事のいずれかを行わなければならない。必須の工事と併せて設置する場合であれば、太陽熱利用システムも対象になる。 発行されるポイント

 Q:被災地に住んでいた人が、被災後に、被災地以外の場所に移転してエコ住宅を新築する場合も、15万ポイントしかもらえない?

 A:被災地以外の新築は15万ポイント。

 エコ住宅の新築は、被災地が30万ポイント、被災地以外が15万ポイント。新エコポイントの目的は個々の被災者支援ではなく、被災地の復興支援にあるので、被災者であっても被災地以外に新築する場合は15万ポイントになる。エコリフォームについては、立地を問わず上限は一律30万ポイントだ。 

(資料:日経ホームビルダー)

(資料:日経ホームビルダー)
                    
ポイントの申請・利用
Q:旧エコポイントの対象になっているが、まだポイントを申請していない。申請額が予算額にいつ達するかを知るにはどうすればよいか?

 A:国交省のホームページで。

 国土交通省のホームページでは、「報道発表資料」に毎月「お知らせ」として住宅エコポイントの実施状況を掲載している。11年11月末時点の累計は、新築が約1697億円分、リフォームが約341億円分、合計約2038億円分に相当するポイントが発行されており、予算2442億円に対して約83%に達している。 

Q:旧エコポイントで取得したものの、使いきれなかったポイントがある。新エコポイントで取得したポイントに加算して使えないか?

 A:新旧のポイントは合算して使えない。

 旧エコポイントと新エコポイントでは交換対象となる商品が異なるので、ポイントを合算して使うことはできない。新旧両方のポイントを取得した場合でも、旧エコポイントは旧エコポイントの対象商品、新エコポイントは新エコポイントの対象商品に、それぞれ交換しなければならない。 

Q:新エコポイントを利用して追加工事を行いたい。取得したポイント全部を即時交換に充当できる?

 A:ポイントの半分以上は復興支援商品に。

 新エコポイントは、名称が「復興支援・住宅エコポイント」となっているとおり、その目的には被災地の復興支援が含まれる。そのため、取得ポイントの半分までは即時交換やエコ商品に交換できるが、半分以上は被災地の特産品や義援金などの復興支援商品に交換しなければならない。もちろん全部を復興支援商品に交換してもよい。 

(資料:日経ホームビルダー)

(資料:日経ホームビルダー)

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Category: 住宅版エコポイント, 建設業 関連  Comments off

住宅の省エネ化と住宅市場の活性化、さらには東日本大震災の被災地支援を図る目的で、「復興支援・住宅エコポイント」がスタートした。今年7月にいったん終了した住宅エコポイント制度を変更・拡充したもので、エコ住宅の新築については、被災地を対象に取得ポイントの上乗せを実施。エコリフォームについては、省エネ・バリアフリーに加え、耐震改修工事を対象に追加した。取得ポイントは、半分以上を被災地の産品・製品との交換などに用いることを義務付けている。さまざまな場面で復興を後押ししたいという国民感情が高まっており、工事需要の創出にも一役買いそうだ。

            
 住宅エコポイントについては、前田武志国土交通相が9月、復興支援の機能を盛り込んだ形で再開する方針を表明。「復興支援・住宅エコポイント」として、11年度第3次補正予算に盛り込まれた。復興支援・住宅エコポイントは、従来の制度と大枠は同じだが、ポイント配分や取得ポイントの交換商品などを変更している。東日本大震災で被災した「特定被災区域」(10県221市町村)の支援も前面に打ち出した。

                
 エコ住宅の新築に対しては、被災地で30万ポイント、被災地以外では15万ポイントを付与する。エコリフォームに対しては、窓などの断熱改修、バリアフリーなど工事内容ごとに2000~10万ポイントが与えられ、最大で30万ポイントを得ることができる。さらに、耐震改修工事を行う場合は別途15万ポイントが付与される。対象となる工事着手時期は、新築が11年10月21日~12年10月31日、リフォームが11年11月21日~12年10月31日となっている。ポイント発行の申請は、来年1月25日に受け付けを始める予定だ。

              
 ポイントを交換できる対象商品には、省エネ・環境配慮商品や被災地への義援金・寄付、追加工事への即時交換などに加え、被災地の産品・製品、被災地の商品券を追加した。現在、対象商品の公募・選定作業が進められている。復興支援という性格上、全国型の商品券などは対象から外している。さらに、復興支援商品への交換を2分の1以上とすることも定めた。

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