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衆院財務金融委員会で採決が強行された、亀井静香金融相鳴り物入りの「中小企業等金融円滑化法案」について、貸し手である金融界、借り手の中小・零細企業の双方から困惑の声があがっている。法案にあわせて金融庁が定める「金融検査マニュアル改訂版」は、金融機関に対しきめ細かい対応を行ったかどうかを社員の人事評価の対象にするよう迫るなど頭痛の種が増えるからだ。中小・零細企業にも、「(返済猶予が始まれば)会社だけでなく、同業他社や顧客からの信用が低下する」など疑心暗鬼を招いている。

 法案は、当初想定された「強制的な返済猶予」といった内容には踏み込まなかったものの、「条件変更に応じる基準」といった具体的な運用は金融界に事実上、“丸投げ”された。第二地方銀行の幹部は「すべての企業が助かると思われても困る」と漏らす。

 「金融機関はコンサルタント的な役割を果たすように」との亀井金融相の指示に基づき、貸出先企業への対応が人事評価の対象になることについて、大手銀行の関係者は「評価を反映させる枠組み作りは難しい」と頭を抱える。

 通常、返済猶予などの貸し付け条件変更を求める企業には、どのように立て直すかなどの経営改善計画の策定が義務づけられる。しかし、法案が通れば経営改善計画の策定は最長で1年間、猶予される。
 この間、金融機関には企業と足並みをそろえて経営改善計画を作ることが求められそうで、「そこまでやるべきなのか」(金融関係者)との声も多い。

 経営の厳しい中小・零細企業への貸し出しを不良債権としないまま、追加融資を行った場合、経営悪化を招く地域金融機関も出そうだ。亀井金融相はこうした金融機関に業務改善命令などを出さない方針だが、その分、不良債権の実態が見えにくくなる。別の大手銀行幹部は「日本の金融機関の国際的信用が失われる」と懸念する。

 借り手の中小・零細企業にとって、「借り入れ条件の変更」で一息つけることは間違いない。川崎市のベンチャー企業社長は「信用力低下を恐れて金融機関に(返済延期など)条件変更を言い出せなかったが、法律ができれば言いやすくなる」と語る一方、「仕組みがあると甘えてしまう。競争力低下につながる」と戒める。

 東京都内のある食品会社社長は、法案の及ぼす影響を不安視する。

 「法律にもとづいて融資返済を見直したことが外部に分かった場合、『あの会社の経営は良くない』ということにつながるかもしれない。それが会社の信用力低下につながることが恐ろしい。新しい融資の金利が高くなるなど、返済猶予の弊害を見極めたい」

 横浜市のメーカー社長も「急場はしのげるかもしれないが、効果は限定的だ」とみる。

 法案の年内施行を視野に大手銀行は専門部署を設けるなど準備に入ったが、当面、試行錯誤が続きそうだ。

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やみつきのした(大阪市北区)が展開する鉄板鍋店「大阪名物鉄板まる鍋 やみつきのした」(大阪市都島区片町2、TEL 06-6358-7878)が11月11日、京橋にオープンした。同社社長は「元祖鉄板鍋きのした」のキノシタ(大阪市北区)と同じく松竹芸人TKO木下さんの兄。

 店舗面積は約20坪。薄黄緑色を基調としたポップな内装に、テーブル34席を設けた。「お鍋好きな人におすすめしたい」(マネジャーの野村裕一さん)という目玉メニューの「鉄板まる鍋」(1人前1,380円)は、牛肉、豚肉、鶏肉と新鮮な野菜を独自のダシで炊きあげたすき焼き風の野菜鍋。「ヘルシーでパンチのある濃い味わい」が特徴。特製コチュジャンで辛さが調節でき、激辛党にも人気があるという。そのほか、「チーズチヂミ」(630円)、「なにわの和牛コロッケ」(430円)、「韓国あっさり冷麺」(780円)などの一品ものも多くそろえる。客単価は約3,000円~3,500円。

 同店スタッフの平均年齢は20代前半。高校の同級生だという店長の望月駿一さん(23)とマネジャーの野村さん(23)をはじめ、若さのパワーで「元気な接客・元気な店作り」を心がけるという。「元気さではとにかく無敵。大阪で一番パワーのある店にしたい」(野村さん)と意欲をみせる。

 営業時間は、月曜~金曜=17時~翌2時、土曜・日曜・祝日=17時~24時。

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 (財)建設経済研究所が10月30日のセミナー「日本経済と公共投資」で発表した予測によれば、2010年度の名目建設投資は41兆600億円に、名目政府建設投資は15兆5000億円にまで落ち込むという。22日に公表した推計値を、2010年度の概算要求額を踏まえて下方修正した。

 実質投資額の修正値は30日には発表されなかったが、2000年度を基準とした2010年度の実質建設投資は40兆円台に、実質政府建設投資は15兆円前後になりそうだ。この建設投資額は実に、1970年度の41兆6389億円を下回る。

 実質建設投資のピークは1990年度の約84兆円。70年から20年でピークを迎えた建設投資が、今度は逆に20年で70年当時の水準に戻ることになる。

 建設投資の減少は、雇用にも少なからず影響を与えるだろう。総務省が10月30日に公表した労働力調査(速報)では、建設業の就業者数は2009年9月時点で503万人。1年前と比べて20万人減った。

 1970年の建設業の就業者数は1年間の平均で 394万人であり、生産性などが同等と仮定するなら、これから100万人程度が減少する可能性がある。

 前原誠司国土交通相は日経コンストラクション10月23日号のインタビューで、「年間の完工高が100万円以上の会社は20万社程度」としたうえで、「20万社という建設会社数が果たして妥当かといえば、私は多いと思う」、「転業支援をどうやっていくかが今後の課題」と、建設会社の数の多さに言及している。

 建設業の就業者数が今より100万人程度少なかった1970年ごろは、69年に東名高速道路が開通するなど大規模プロジェクトの完成や着工が相次いだ。そして72年には、田中角栄通産相(当時)が「日本列島改造論」を発表している。

 開発を主とする日本列島改造論から40年弱を経て、2010年は新たな「公共事業改造論」へと転換する節目の年となるかもしれない。

 では、どのように転換するべきか――。

経済波及効果より経済「損失」を基本に

 建設投資が70年ごろと同じ水準に戻るとはいえ、建設事業を取り巻く環境は一変。これからは、そのころに建設した構造物を補修し、維持管理していくことになる。しかし、その財源は不足している。

 国土交通省は2005年、「2030年ごろには必要な維持管理費と更新費のうち、半分の予算しか確保できなくなる」とする試算結果を発表したが、昨今の「無駄な公共事業」の見直しによって、予算の確保はさらに厳しくなる。

 日本の社会資本が荒廃していく危機を指摘する声は増えてきたものの、公共事業を批判する世論を納得させるまでには至っていない。公共事業による経済波及効果の説得力も弱まっている。

 一方、例えば2008年8月の首都高速道路の火災事故では、1本の道路が通行止めになったことで周辺の一般道路や高速道路に大渋滞を引き起こした。さらに、首都高速道路全体の料金収入は1日当たり5000万円減少したという。

 最近の例では、北海道の四ツ峰トンネルが覆工コンクリートのひび割れなどで2009年7月から通行止めになっており、スキーや観光が支える地元の経済に打撃を与えると心配されている。

 従来のように経済成長を前提とするならば、建設によって得られる効果は事業の可否を決める一つの指標足りえた。しかし、管理が主となるこれからは、つくることで得られる効果より、使えなくなることで被る損失に目を向けるべきではないか。

 なにより先述の首都高速や四ツ峰トンネルのケースのように、インフラの不具合がもたらす損失は、受益者や利用者にとって経済波及効果よりも実感を伴ったものになるはずだ。

 その損失額を、地域だけでなく国全体としても算出し、これからの行政サービスの水準と照らし合わせながら社会資本のあり方を考えてみる。維持管理に最低限、必要なコストも併せて示す。

 公共事業批判が落ち着く兆しは見えないが、損失額などの実感を伴ったデータが、目先の公共事業ではなく社会資本の将来に目を向けるきっかけになりはしないだろうか。

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