Archive for » 12月 5th, 2009«

 エンジニアリング振興協会(ENAA、増田信行会長)は、「2009年度エンジニアリング産業の実態と動向」(エンジニアリング白書)をまとめた。今回の白書では、「金融危機下でのエンジニアリングビジネス」と題し、各企業が経済・金融危機における事業への影響とその対応策を調査した。「建設」は15社が回答し、国内市場の影響度が3年以上としたのは8社で、海外市場は1-2年と3年以上が各7社と見方が分かれた。また、業種別の今後の展望での「総合建設」は、民主党政権の誕生で従来の慣習にとらわれない「構造改革」を推進していることから、建設産業も1日も早く「構造改革」を推し進め、魅力ある産業への転換が必要と指摘した。

 建設15社の経済・金融危機における自社の業績影響期間をみると、国内で今後3年以上としたのが9社、海外は7社が3年以上、6社が今後1-2年と回答した。影響の内訳は国内が「案件の減少」(8社)と「競争激化」(6社)の2本立てで、海外は「案件の減少」(9社)が中心。

 影響を受けている地域は、国内をあげる企業が多い。海外では中近東とアフリカが各2社、東南アジアが1社に過ぎない。ただ、見方を変えると、海外依存度の小さい総合建設が、影響の大きい地域として「日本」を選択せず、海外を選択した企業が3分の1あったことは「特筆される」としている。

 海外依存度は、今後1-2年はわずかだが減少するとの回答だった。国内建設投資の長期減少傾向を受け、ここ数年、海外受注が大幅に増加し海外依存度を拡大してきたものの、一転して急減し数年前の水準に戻ったといえる。

 対応策については、コスト削減と戦略の見直しの2つに注力するとともに、調達や生産体制の見直し、経費削減とすべてに対応すると回答している。対策の優先度はコスト削減と戦略の見直しが他の対応に比べ圧倒的に高かった。

 調査結果からは、市場が縮小し競争が激化している中で生き残っていくために、「まずは価格競争力を確保するため、考えられるコスト削減策はすべて採らざるを得ないとの認識が強く現れた」と分析している。

 一方、専業エンジニアリングや総合建設、鉄鋼、造船重機など7業種のエンジニアリング事業について今後の展望と課題などをアンケートした結果から、総合建設の展望は「かつて経験したことのない厳しい環境にさらされており、経営環境の悪化が大きな問題」と指摘した上で、今後、営業利益のさらなる悪化につながると予測し「各企業が経営環境の改善を積極的に推進する必要がある」としている。

 現状と将来の課題については、総合建設の9社が回答した。現状の課題では、「国内営業力の強化」「研究・技術開発の強化」「労働力・人材の確保」を挙げる回答が多く、将来の課題は、「新規事業の展開」や「研究・技術開発の強化」「労働力・人材の確保」だった。高齢化社会と厳しい受注競争時代を迎え、現在、将

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 西日本高速道路会社は11月30日、12月21日以降に入札公告を行う土木・舗装・PC橋上部工など15工種を対象に、地方公共団体以外では初となる最低制限価格を導入すると発表した。ダンピング防止等の独自対策「工事契約価格適正化制度」の導入から約2年半が経過し、厳格審査の対象となる適正契約基準価格(契約制限価格の75%程度)を下回った業者の約9割を排除するなど、一定の効果が表れてきたことから、現行の適正契約基準価格を最低制限価格として運用する。

 07年4月に運用を開始した工事契約価格適正化制度は、単価表の合計金額(直接工事費+共通仮設費の一部)を適正契約基準価格とし、これを下回った業者には、低価格入札のヒアリング調査に加え、履行を立証できる証拠書類の提出などを求め、立証できない場合に無効とする仕組み。07年度から09年度上半期までの調査結果によると、発注工事722件のうち、105件が調査対象となり、入札参加者204社の約9割にあたる182社が無効となった。工事契約の適正化に寄与している反面、調査期間が平均30日、最長3カ月に及ぶケースもあり、入札参加者(配置予定技術者)の拘束や調査対象外落札保留者の辞退等の問題も発生しているという。

 このため、調査対象者の約9割が排除となった調査実績に基づき、現行の適正契約基準価格を最低制限価格として運用することにした。下回った入札参加者は自動的に失格となる。対象工種は原則として土木・舗装・PC橋上部工・鋼橋上部工など計15工種。WTO対象工事のほか、遠方監視制御設備・交通情報設備など計11工種は適用外となる。

 最低制限価格の導入に伴い、適正契約基準価格を引き上げる。算出方法を現行の「単価表の合計金額」から「直接工事費と共通仮設費の合計額」に見直すことで、契約制限価格(予定価格)の80%程度までが調査対象となる。基準を下回った場合、入札参加者の単価表または工費内訳書を新たに設けた工費内訳調査基準「直接工事費+共通仮設費の75%未満、現場管理費の60%未満」と照合。最低制限価格の適用工事では、いずれかの基準を下回れば無効、上回れば直接工事費と一般管理費のみを対象とした「簡易調査」を行う。

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