香川県は1月5日、エム・テック(さいたま市)を3カ月間の指名停止にした。同県が発注した橋の架け替え工事で、建設業法が義務付ける「建設業の許可票」などの標識を工事現場に掲示していなかった。同県は標識を掲示するよう再三指導したが、同社は応じなかったという。
この工事は、香川県発注の「広域基幹河川本津川(国分寺工区)改修工事(万灯下橋上部工)」。本津(ほんづ)川を拡幅するのに伴って、万灯下(まんとうしも)橋を架け替える工事だ。一般競争入札で発注し、予定価格4714万5000円に対して、エム・テックが4410万円で落札した。工期は2009年2月から2010年1月29日まで。
新たに架ける万灯下橋は、単径間のポストテンションPC(プレストレスト・コンクリート)ホロー桁橋。橋台の完成を待って、2009年10月中旬ごろに工事に着手した。10月19日に香川県が実施した初回の検査の際、建設業の許可票などの標識を工事現場に設置していないことを同県土木部高松土木事務所の職員が確認した。
同事務所の職員は、その場でエム・テックの現場代理人に建設業法などで定められた標識がないことを指摘。標識を工事現場に掲示するよう口頭で指導した。同事務所によれば、「10月19日の時点では、住民に向けて工事を説明する看板だけしか設置していなかった」という。
その後、同県は標識を掲示するように繰り返し指導。指導した回数は合計で11回に及んだ。それでも、同社は「建設業の許可票」を示す標識を掲示しなかった。同事務所の職員が「建設業の許可票」の標識が設置されたのを確認したのは、11月24日になってからだという。
高松土木事務所の担当者は、「建設業法に基づく標識の掲示を怠っていた工事は記憶にない。準備する期間は十分にあったはずだが、残念」と話す。標識の掲示に関連して、橋の架け替えの工期に影響はない。
建設業法では、工事をしている建設会社の名称のほか、大臣や知事から受けた許可番号などを示す「建設業の許可票」や「施工体系図」などの標識を工事現場に掲示するよう定めている。
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