長期優良住宅の基準を満たす「耐震等級2」の住宅が、「震度6強」の揺れで倒壊した。──防災科学技術研究所・兵庫耐震工学研究センター(通称=E-ディフェンス)で2009年10月27日に行われた実大振動破壊実験の結果により、困惑が広がっている。
建物の耐震性と「震度」は、どのような関係にあるのだろうか。今後の顧客説明や住宅会社の果たすべき責任にかかわる情報を調べてみた。
気象庁まとめによると、阪神大震災以来、「震度6強」以上を記録した地震は6回も起きている。すべて2000年以降に発生しており、2年に1度以上のハイペースだ。消費者から見れば、「震度6強」の地震とは「いつでも起こり得る大災害」にほかならない。
だが住宅会社が「震度6強に耐える」ことを、具体的な設計要件とすることは難しい。住宅の設計では、多くの人が「壁倍率」を用いて建築基準法を満たしているが、震度換算でどの程度の地震に耐えられるのか、法は示していないからだ。建基法は「数百年に一度の大地震で倒壊しない」性能を求めている。だがその大地震は震度換算でいくつなのか、国土交通省監修の最新の技術解説書も示していない。
日本で使われる「震度」は、気象庁震度と呼ばれており、日本の気象庁独自の表現だ。現在は機械計測で自動的に算出している。この計算方法に基づけば「震度6強」以上の地震の定義はわかるが、現行の耐震基準はその定義と連動していない形になっている。
気象庁はこれまでの地震被害の調査結果から、国交省の住宅局は阪神大震災における建物被害の調査結果から現行の耐震基準の見直しは不要と判断、震度との連動をやめた。
現在、気象庁震度と耐震基準はかみ合わない歯車のようなもので、少なくとも震度6強で倒壊する危険がないとは言えない。顧客説明では慎重な表現が求められそうだ。
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