昨年10月1日に全面施行された住宅瑕疵(かし)担保履行法で、新築住宅の売り主らに義務付けられた保証責任履行のための資力確保措置。売り主がこの措置状況を行政庁に報告する最初の届け出が、1カ月後の4月1日に始まる。同法は、住宅瑕疵担保保険への加入または保証金の供託による資力確保に加え、その措置状況を行政庁に定期報告することも義務付けており、違反すれば指導や罰則の対象となる。国土交通省は、保険に加入しているにもかかわらず、保険証券の発行を申し込んでいないケースが相当数あるとみており、注意を呼び掛けている。保険加入を怠ったまま引き渡しに至っている物件もあるとみられ、暫定的に救済措置を講じることも検討し始めた。
同法は、耐震偽装問題の再発防止策の一つとして制定された。新築住宅に瑕疵が生じた場合に、売り主に保証責任を確実に履行させ、住宅購入者を保護するのが狙いだ。売り主には、年2回の基準日(3月31日と9月30日)時点の措置状況を3週間以内に行政庁に報告することも義務付けている。最初の届け出は、昨年10月からこの3月末までに引き渡した物件が対象となる。
資力確保に保険加入を利用している場合は、住宅瑕疵担保保険法人から加入状況に関する証明書が送付されるため、これを届け出ればよい。ただし、保険に加入していても、引き渡し後に保険証券の発行を保険法人に申し込む必要があり、この手続きが済んでいないと保険法人は保険加入の証明ができない。国交省によると、保険の加入件数と保険証券の発行件数に約20万戸分(今年1月時点)の開きがあり、手続き忘れが少なくないとみられる。現在、保険法人を通じて注意喚起を行っている。
資力確保措置が不適切だと、基準日翌日から50日を経過して以降、新築住宅の販売や請負契約が禁止される。保険の場合は、着工後に加入できるタイプの保険商品が用意されているものの、引き渡しが済んだ後だと、現状では対応できない。保証金の供託が可能であれば問題はないが、企業によっては資金確保が難しいケースも生じる懸念がある。こうした物件で瑕疵が発生すると、保証責任が履行されない事態が起こる危険性があるため、国交省は今回に限って、救済措置を講じる方向だ。
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