Archive for » 3月 23rd, 2010«

山本能楽会(大阪市中央区)は3月30日、天満橋の京阪シティモール(中央区)で「ストリートライブ能」を上演する。

 「ストリートライブ能」とは公共空間で能を公演し、「不特定多数の人に偶発的に能をアピール」するもの。京阪シティモールのほか、関西国際空港、柴島浄水場、高津神社(以上28日)、中大江公演(4月3日)など市内各所でも行う。2007年8月の世界陸上大阪大会前夜祭の際にホテルニューオータニ大阪(中央区)のロビーでの上演をきっかけに、これまでに約30回を開催、約1万人を動員してきた。

 「ストリートライブ能」公演の背景には、日本人の「能離れ」がある。同会の山本佳誌枝さんは「あるアンケート調査でも、能を見たことがある人は1割にも満たないとされている今、能は能楽堂の中でじっと待っているのではなく、自ら観客の中に飛び出していく必要がある」と思いを語る。

 京阪シティモールでは能の楽器体験や造形遊びを通して「創造的な能の世界観」を体感できる「高砂(たかさご)」を上演。内容は、10分間の能の解説・説明の後、能の楽器体験、小学生50人による公開アートワークショップ、半能「高砂」の上演を行う。

 「能の魅力は生(ライブ)で見てもらうことに尽きる」と山本さん。「難しいとされる能だが、楽器の持つ魂に響くビートや能装束の色彩の豊かさ、謡の生の声の響きと詞章の美しさは日本人の遺伝子に呼応し、忘れていた古来の美意識が呼び起こされるとこれまでの公演での観客の反応を通して実感している」とも。

 上演は15時~18時。無料。

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 国土交通省は、住宅リフォームの推進策を強化する。前原誠司国交相は、19日の定例会見で、住宅のリフォーム政策に注力する方針を表明。消費者支援策として、住宅瑕疵(かし)担保履行法に基づくリフォーム瑕疵保険を整備するとともに、保険の加入工事業者リストを公開。無料相談制度などもスタートさせることを明らかにした。リフォーム瑕疵保険が始まったことで、国交省が住宅瑕疵担保保険法人と整備を進めてきた既存住宅向けの任意保険が出そろうことになる。同省は来年度、各種保険の利用事業者に関するデータベース(DB)構築に取り組み、消費者が情報を検索できる体制も整える。

 前原国交相は「世帯数よりも多い住宅が供給されており、新築を増やせ増やせでは限界がある。新築もしっかり力を入れながら、リフォームを大きなポイントとして力を入れる」と語った。リフォームに対しては、住宅版エコポイント制度の導入などで消費者の関心が高まっている一方、ずさんな工事が行われてトラブルが起きる懸念も生じているため、消費者支援策を講じる。

 リフォーム瑕疵保険は、リフォーム工事に欠陥があった場合の修理費用を賄うもので、工事業者が倒産した場合にも、消費者が保険金を受け取ることができる。加入手続きは工事業者が行い、建築士による現場検査の完了後に保険加入が認められる。第1弾として日本住宅保証検査機構の保険商品が18日付で認可された。保険を利用する際は、同機構に事業者登録をすることが必要となり、保険に加入している工事業者のリストも公開される。さらに4月1日からは、住宅リフォーム・紛争処理支援センターがリフォーム見積もりについての無料相談に応じ、全国各地の弁護士会が弁護士や建築士による対面での専門家相談を始める。

 国交省は、消費者が安心して既存住宅のリフォームや売買ができるよう任意保険の整備を進めてきた。既に、マンションの大規模修繕保険と宅地建物取引業者が販売する中古住宅向けの売買保険が昨年12月に始まり、今月8日には、ハウスジーメンが個人間売買を対象とした中古住宅売買保険の認可を取得し、取り扱いを開始した。リフォーム瑕疵保険が加わることで全種類が整うことになる。

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住宅の環境設計に挑む設計者が増えてきた。しかし、戸建て住宅では、設備や環境の専門家が設計に加わることは少ない。設計者各人が考案したエコデザインは、環境学の専門家の目にはどう映るのか。宿谷昌則・東京都市大学教授に聞いた。

──住宅分野でのCO2排出抑制が急がれるが、建築設計者が設計した最近の住宅を見て感じることは?

宿谷 環境性能と意匠とが、うまく調和した住宅が少ない。全般に、環境性能を追求する設計者は、意匠があまり上手ではない。逆に、意匠計画を重んじる設計者は、環境に対する認識が甘かったり、人によっては無関心だったりする。

 双方のバランスがとれた住宅をつくれる設計者は非常に少なく、全体としては、むしろ両者のかい離が進んでいるように映る。

──高断熱・高気密にアレルギー反応を示す設計者が少なくないように感じるが…

宿谷 設計者のなかには、「断熱や気密を高めると、息苦しくなる。住宅はもっと、外部に開かれているほうがいい」という人がいる。だが、そこには矛盾がある。実は、断熱・気密を確保するから、住宅を開けるようになるのに、なかなか理解されない。

──断熱・気密が高いほうが、開放的な家になるわけは?

宿谷 これは、設計者が最近、関心を寄せ始めている「輻射熱(放射熱)」の利用と密接にかかわる話になる。

 例えば、真冬に部屋を掃除するとき、窓を全開にして空気を入れ換えたとする。その部屋が、エアコンで暖房していた場合、窓を閉めた後もなかなか暖まらない。それに対して、輻射熱で暖まっていた部屋は、窓を閉めれば、またすぐに暖かくなる。

──その違いは、どこに?

宿谷 エアコンが、空気自体を暖めたり、冷やしたりするのと違って、輻射熱は、室内の床や壁、天井が発する熱によって、暖かさや涼しさを感じる。床や壁の表面温度というのは、すぐに上がったり、下がったりしないので、少しくらい窓を開閉しても影響を受けにくい。

 つまり、輻射熱の利用のカギは、室内の表面温度の制御にあるのだが、そこで不可欠なのが、断熱・気密の確保だ。断熱・気密性が低いと、室内の表面温度が、常に外部環境の影響を受けてしまい、うまくコントロールできないからだ。

 断熱・気密を確保して、輻射熱を利用すれば、室内環境が外部環境に影響されにくくなり、閉じても開いても快適で健全で、しかも少ないエネルギーで生活できる。

──昨今の高断熱・高気密化は、国が掲げるCO2排出削減目標という側面が、強く打ち出されすぎてはいないか?

宿谷 住宅の基本性能を上げる主目的が、CO2削減ではいけないと思う。それ以前に、生物としての人間の身体を健全に保つことが大切だ。その意味で、設計者は、「住宅は身体の延長」ととらえて、環境設計に取り組んでほしい。

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