建設業の業績先行きに薄日が差しつつある。信用調査機関の帝国データバンクが公表した「2010年度の業績見通しに関する企業の意識調査」で、建設業の14.9%(226社)が増収増益を予想していることが分かった。全業種(1万0762社)では26.2%の企業が10年度業績の増収増益を見込んでいる。全業種の増収増益見込みは09年度調査の12.6%から倍増。さらに帝国データバンクがまとめた3月の景気動向調査でも景況感は3カ月連続して改善しており、景気回復と自社の業績回復に対する期待の力強さが増しつつある。
10年度業績見通し調査のなかで、建設業(1513社)は増収増益見込み企業が、1年前の09年度調査(建設業は1520社)の9.9%(150社)から76社増加し5ポイント上昇。
逆に減収減益予想企業は09年度調査の48.2%(733社)から、10年度調査は40.8%(618社)と7.4ポイント減少、建設業の業績見通しにもようやく明るさが出てきた。
また10年度業績の上振れ材料として建設業は、「株式市況の好転」をあげた企業が26.2%と最多、次いで「米国経済の回復」が24.7%だった。反対に下振れ材料としては、「個人消費の一段の低迷」が51.7%と半数を超えた。そのほか、「所得の減少」が44.9%、「雇用の悪化」41.7%と続いた。
一方、他産業では、電気機械など製造業は「増収増益」が30.1%(917社)と3割に達したほか、金融も28.3%(34社)となるなど、世界金融危機や世界同時不況の影響が直撃した業界でも業績回復の動きが進み始めた。
また、民間建築受注の最大顧客である不動産業も「増収増益」予想企業は27.7%(75社)と回答企業の3割近い企業が回復予想をしている。
このほか大企業の企業設備投資の原資にもなるCP(コマーシャルペーパー)発行環境も、日銀が公表した3月調査で、CP発行企業の環境判断を示すDI(「楽である」から「厳しい」を引いた割合)も09年6月のプラス15から3月のプラス32まで4四半期連続でプラス幅が拡大、資金調達環境も急速に改善していた。
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