Archive for » 4月 15th, 2010«

建設業界団体で、公益法人改革への対応方針が出そろってきた。建築業協会(BCS)、日本道路建設業協会(道建協)、日本建設業経営協会(日建経)、海外建設協会(海建協)は、一般社団法人を選択する方向で検討しており、それぞれ5月に開く総会で正式決定する見通し。日本土木工業協会(土工協)も一般社団法人化を視野に入れている。公益社団法人は、税制優遇などのメリットがある一方で、会員企業向けの共益事業がやりにくくなるといった懸念があるため、多くの団体が一般社団法人を選ぶ傾向が浮き彫りになっている。

 BCS、道建協、海建協は、正式決定後、11年度中にも移行申請を行う予定。日建経は、本年度末から来年度初めころをめどに、一般社団法人化へ向けた定款変更などに取り組み、移行申請へと進む方向だ。土工協も、11年度中に方針を固めるとみられる。このほか、日本建設業団体連合会(日建連)が、一般社団法人を選択する方向で調整している。全国建設業協会(全建)は、公益社団法人を目指す方針を変えていないが、ハードルが高い状況もあるという。全国中小建設業協会(全中建)と全国建設産業団体連合会(全国建産連)は、ともに未定としている。

 一般社団法人を選択する団体が多い背景には、公益社団法人の認定や維持の難しさがある。公益社団法人だと、公益目的事業の比率を50%以上とすることが求められ、該当しない場合は認定が取り消される。そうなると、会員企業向けの事業を減らさざるを得ない。一方で公益社団法人は税制優遇を受けることができ、団体がより公的な位置付けと認識されるメリットもある。いったんは一般社団法人を選び、その後、公益社団法人を目指すケースも出てくる可能性がある。

 08年12月に施行された「公益法人改革3法」では、公益法人(社団法人、財団法人)に対し、公益社団法人や一般社団法人などへの移行を選択することを義務付けており、施行後5年の移行期間内に対応できなければ、解散しなければならない。

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10日の日経新聞は3面で「高速新料金 混迷招く」との見出しで、国土交通省が発表した高速道路の新料金について報じた。料金体系がどのように変わるのかはもちろんのこと、観光業界や運輸業界がどのような影響を受けるのか、関係者のコメントを交えて解説していた。同時に、高速道路の実質値上げによって浮いた財源を高速道路の整備に回すという民主党の政策に対する矛盾も指摘していた。

 残念なのは、政策の矛盾をつくに当たって、高速の新料金体系の良しあしに関して、「利用者サイド」の見方に報道が偏っていたように思われることである。確かに、新料金で「私たちは得するの? 損するの?」という読者の関心に応えることは最も重要なことかもしれない。しかし、経済紙として考えてほしいのは、政策の経済効果である。

 昨年の衆院選の際に民主党は家計支援を通じて内需を刺激する経済対策の一環として、「高速無料化」を掲げたのではなかったか。「子ども手当」を始めとする民主党の家計支援策が、果たしてどれほどの内需喚起につながるのか疑問は大きかったものの、これまでとは違う景気刺激のアプローチに興味を抱いた有権者も多いはずである。

 二番底懸念が後退したとはいえ、国内経済の現状を見ていると、「もう、景気刺激策は必要ない」とは決して言えない。高速無料化に代わって民主党政権が打ち出してきた新料金体系が個人消費に、そして国内景気にどのような影響を及ぼすのかに踏み込んでほしいのだ。

 現在の「休日1000円乗り放題」がどれほどの個人消費を喚起して新たな需要を創造したのかを検証し、そして「高速無料化」が実現していたらどうなったのか、さらに今回の新料金でどの程度の増減が考えられるか、もちろん短期間での考察は難しいであろう。

 しかし、「公約を守らないのはルール違反だ」と道義的な批判に終始するのではなく、経済政策としてのプラス・マイナスを論理的に整然と主張する報道を求めたい。(章)

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