Archive for » 5月 18th, 2010«

 全国の公共事業のうち都道府県が事業主体となる単独事業と補助事業を合わせると、19都府県で2010年度予算が前年度より増えていることが日経コンストラクションの調査で明らかになった。国直轄の公共事業が大幅に削減されたのとは対照的に、自治体の事業は意外と減っていない。

 自治体の事業を財政面で支えているのが国の交付金だ。国は経済対策の一環として、地域活性化・公共投資臨時交付金や医療施設耐震化臨時特例交付金などを09年度の補正予算に盛り込んだ。

 自治体はこれらの交付金の全額または一部をいったん基金に積み立てた。10年度は、それらの基金を取り崩して「繰入金」として歳入に取り込み、経済対策の事業に投資する。そのため、09年度に配分された交付金であっても、10年度の事業費として計上されたわけだ。

 ただし、基金事業の多くは少子高齢化対策や耐震改修などの建築系の事業だ。道路や河川、砂防などの土木系の公共事業はそれほど多くない。

 例えば長野県の場合、単独事業と補助事業を合わせた建築系の事業費は、09年度の260億円から10年度は414億円へと59%増加した。主に社会福祉施設や病院、県営住宅、学校などの整備や耐震化などの事業だ。一方で、土木系の事業は09年度の894億円から10年度は871億円へと2.6%減少した。

 単独事業費を前年度より67%増やした沖縄県では、子育て支援対策臨時特例交付金をもとにした「安心こども基金」の取り崩しを前年度より31億円増額し、保育所の整備などに充てている。

 基金事業を補助事業費に計上している岡山県では、介護職員処遇改善・介護基盤整備事業費(約23億円)、社会福祉施設等耐震化事業費(約10億円)などを基金からの繰り入れで賄っている。積極的な基金事業によって、補助事業費が17.9%増加した。

 一方、経済対策としての土木系の公共事業は、09年度の補正予算で目立った。国が09年度の第2次補正予算に5000億円を計上した「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」は、主にインフラ整備に向けられたものだ。

 この交付金を使った事業は、各自治体が今年2月以降に編成した09年度補正予算に盛り込まれた。09年度と言っても2月以降の補正予算なので、事業の実施は10年度にまたがる。これによって、年度初めに事業が途切れることなく、連続的に執行できるようになる。

カッコ内は対前年度増減率。増加した都府県を増減率の高い順に並べた

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