Archive for » 5月 21st, 2010«

 国土交通省は5月17日、太陽光発電パネルを既存住宅に設置する際の基準を策定した。瑕疵担保保険加入の際に実施する検査や施工のための技術的な基準を定めたもので、同保険に加入するリフォーム工事が対象となる。新築住宅や、同保険に加入していない既存住宅は対象外だ。太陽光発電パネルの住宅への設置が近年急速に普及し、雨漏りなどの不具合が発生する件数が増加している。これまで、設置工事についての技術基準がなかった。

 不具合発生を防止するため、国交省は、屋根の支持部材の固定方法と防水処理、外壁貫通部分の防水処理などの施工上の留意点を、「既存住宅売買及びリフォーム工事における瑕疵担保責任保険施工・検査基準(住宅用太陽電池モジュール設置工事編)」にまとめた。

 新基準では太陽光発電パネル設置工事を、屋根置き型、陸屋根型、屋根建材型の3つに分けている。

 屋根置き型は、瓦、スレート、金属製のこう配屋根を想定する。屋根の主要な構造部材である垂木、母屋などに、太陽光発電パネルの支持部材を取り付け、この支持部材に架台を固定するよう求めている。

 陸屋根型は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造に露出防水を用いた場合を想定する。屋根の上に基礎などを設け、その上に架台を作り、太陽光発電パネルを固定する。

 屋根建材型は、太陽光発電パネル自体が屋根材としての機能を備える場合を想定する。屋根の野地板の上に直接設置するため、パネルが住宅の屋根構造やこう配、下地処理などに適合したものであることを求めている。

 また、新基準では、事前調査で著しい劣化などが明らかになった場合は計画に補修を含めることや、外壁を貫通する部分には屋内に雨水が浸入しないよう屋外側に下りこう配を付け、シーリング剤を用いるなどの防水措置を施すことも定めている。

 国交省は、住宅事業者と住宅瑕疵担保責任保険法人の検査員を対象に、無料講習会を6月から全国で実施する予定だ。

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 日本建設業団体連合会(野村哲也会長)と海外建設協会(竹中統一会長)は、2009年3月にまとめた『外国人研修・技能実習制度の活用と改善に関する提言』のフォローアップ報告書をまとめた。同制度に対する元請けの理解不足から外国人技能実習生の現場受け入れが進んでいない実態を踏まえ、制度解説の無料講習会など周知活動の必要性を説くとともに、受け入れの際に参考となる共通書式を掲載し、その活用を促している。

 同制度を活用し、外国人研修・技能実習生を直接受け入れているのは、その大半が下請けの専門工事業者であり、元請けである総合工事業者が自ら直接受け入れる例は少なく、現場への受け入れも受動的な立場にある。このため、報告書は、業界が主体となって、各社の関係層向けに制度解説の無料講習会などを開き、制度活用のすそ野を拡大するよう求めている。

 さらに、現場所長を始め、作業所に勤務するスタッフへの同制度に対する理解促進が不可欠とも指摘している。

 元請けが外国人技能実習生の受け入れを試行する場合の参考例として、(1)受け入れ試行実施要領(2)作業所入場に当たっての誓約書兼順守事項(3)受け入れ時提出書類チェックリスト(4)入場についての審査結果(5)作業所用チェックリスト(6)受け入れ報告書(7)研修終了報告書(8)配置されるまでのフロー図(9)安全確認・安全標識確認テスト――の9つのマニュアル要領や書式も掲載し、同制度の活用を促している。

 同制度に関連して不適切事例が発生した場合の元請けとしての責任範囲も明示。帰国した外国人研修・技能実習生のデータベース化に当たっては、国際的に通用するスキル標準、または日本品質を保つためのスキル標準を設定する必要性を指摘し、研修・技能実習生を客観的に評価する仕組みなども検討するよう求めている。

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厚生労働省は5月14日、2009年の死亡災害・重大災害の調査結果を発表した。2009年の労働災害による死亡者数は全産業の合計で前年比15.2%減の1075人。このうち、建設業の死亡者数は371人と全産業の中で最も多かったが、前年より大幅に減少している。

1989年(平成元年)を100とした場合の建設業就業者数と建設投資、労働災害による死亡者数の推移

1989年(平成元年)を100とした場合の建設業就業者数と建設投資、労働災害による死亡者数の推移

建設業の死亡者数が20年で64%減少、371人に

2008年に430人だった建設業の死亡者数は13.7%減少し、資料が残る1956年以降で最少となった。

 就業者数や建設投資が減少した影響もあるが、死亡者数の減少はそれらを大きく上回っている。例えば1989年に比べ、2009年の建設業の就業者数は10.6%、建設投資は35.4%それぞれ減少している。これに対して、2009年の死亡者数は1989年の1017人に比べて63.5%も減少した。

建設業の死亡者数が大幅に減少したことについて、厚生労働省は「建設現場における全般的な安全衛生水準の向上を反映しているのではないか」と考えている。

 例えば、1992年に労働安全衛生法を改正。小規模な建設現場における安全衛生管理の充実などを盛り込んだ。2003年には手すり先行工法などに関するガイドラインを制定。足場の組み立て時などに発生する墜落や転落を防止するため、ガイドラインの普及に取り組んでいる。

重大災害の減少率は全産業でトップ

  3人以上の労働者が一度に死傷するなどの重大災害も、著しく減少している。2009年の発生件数を見ると、建設業は前年より19.4%減の75件。全産業の平均の減少率は前年比18.9%となっており、建設業は「その他の事業」の26.0%を除いて減少率が最も高かった。

 厚生労働省が専門工事会社の事業者団体に実施したアンケート調査でも労働災害の減少傾向が見られる。1989年と比べて労働災害が減ったと回答した団体は28団体のうち、19団体だった。

 減少した要因を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「工事量などの減少」で14件。ただし、これだけを要因として挙げた団体は3団体にとどまっている。「作業手順の徹底や安全衛生計画の運用」が11件、「リスクアセスメントや労働安全衛生マネジメントシステムの取り組み」が9件で続いており、なんらかの安全衛生対策を挙げる団体が多かった。

●建設業における労働災害の減少要因

アンケートでは、これから注力する安全衛生対策についても複数回答で尋ねた。最も多かったのは、職長や労働者の「安全衛生教育」で12件。これに「リスクアセスメントや労働安全衛生マネジメントシステムの取り組み」が8件、「災害事例の分析、周知」が5件でそれぞれ続いた。

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