国産材の利用拡大による木材自給率の向上を狙った「公共建築物木材利用促進法」が、修正を経て5月19日に成立した。建築材料としての利用を促すために国が規制の緩和・撤廃を検討することなどを、新たに盛り込んだ。また、当初のターゲットだった低層の公共建築物だけでなく、住宅や工作物、製品の原料やエネルギーへの利用にも支援対象を拡大した。
修正を加えて成立した同法では、建築基準法などの規制について、木材の耐火性能に関する研究成果や建築の専門家の意見、海外での規制の状況などを踏まえて検討し、国が規制緩和や撤廃などに必要な法制上の措置などを講じることとした。また、木材利用の促進に関する取り組みや研究、技術開発、人材育成などへの支援を努力義務とした。公共建築物への木材利用の促進に関して実効性を担保するために、農林水産大臣と国土交通大臣が利用目標などを定めた「基本方針」について、毎年1回の実施状況の公表を義務付けた。
公共建築物以外についても木材利用を促進するため、新たに条文を加えた。住宅に関しては「断熱性、調湿性などに優れ、紫外線を吸収する効果が高いこと」「国民の木造住宅への志向が強いこと」「地域経済の活性化に貢献すること」などを理由に、需要開拓のための支援などを行う。
木材を利用したガードレールや高速道路の遮音壁、公園の柵などの工作物については、「景観を向上」し「利用者などを癒やす」ことに役立つとして、設置を推進する。このほか、パルプや紙などの原材料として、あるいは化石資源の代替エネルギーとしての利用促進についても盛り込み、木材の用途拡大と多段階での利用を促す。
施行は公布から6カ月以内。日経アーキテクチュア2010年4月12日号でインタビューに応じた郡司彰農水副大臣は「2010年内の施行を見込んでいる」と話している。
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