政府は18日の閣議で、2020年までの経済運営の指針となる新成長戦略を決定した。成長が期待できる環境・エネルギーや健康、アジア経済、観光立国・地域活性化など七つの戦略分野を掲げ、インフラの輸出や維持管理・更新を含むインフラ整備への民間資金の積極活用(PFI事業の倍増)、総合特区制度の創設による開発事業への民間投資の喚起、中古住宅流通市場・リフォーム市場の規模倍増などを推進することを打ち出した。最終的に約123兆円の新規市場と500万人の雇用の創出を目指すとしている。
新成長戦略では、経済社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出につなげて成長を目指すことを前提に、7分野で約330項目にわたる経済活性化策を提示。特に成長が期待できる21の施策を「国家戦略プロジェクト」に位置付け、国土交通関係では11施策を選んだ。主な施策では、再生可能エネルギーの普及拡大のため、固定価格買い取り制度の対象をこれまでの太陽光発電から風力、中小水力、地熱、バイオマス発電に拡大。20年までに10兆円の市場創出を目指す。スマートグリッド(次世代送電網)やゼロ・エミッション住宅、再生可能エネルギーシステムなどを集中的に整備する「環境未来都市」も創設し、「環境未来都市整備促進法」を整備して取り組みを助成する。
インフラ技術の輸出に向けては、政府系金融機関の海外投融資を再開し、国として重点的に推進するプロジェクトを判断する「国家戦略プロジェクト委員会」を設置する。日本が持つ世界最高レベルの環境・省エネ技術などを集約。一つの企業連合体による「ワンボイス・ワンパッケージ」でアジアを中心に展開し、海外インフラ整備事業の受注を伸ばす。20年には07年比18・2兆円増となる19・7兆円の市場創出を目指す。
国際的な都市間競争を勝ち抜くための街づくり施策も強化する。日本全体の成長をけん引し、世界レベルでの競争優位性を持てる大都市を対象として「国際戦略総合特区」を設け、規制緩和や税制特例の実施で外資系企業などの誘致を促進。地域の知恵と工夫を最大限活かす「地域活性化総合特区」も創設する。内需拡大に向けて中古住宅流通・リフォーム市場の活性化施策を示す総合プランもつくり、20年までに市場規模を倍に拡大させる。
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