「ワンコイン亭主」。昼食代が500円玉一枚のサラリーマンを揶揄する言葉だが、これはもう古い。最近は大手スーパーが300円前後の弁当を売り出すなど、節約志向はさらに進み、価格競争は激しさを増している。小遣いカットに悩まされるご同輩も多いはずだ。
節約は悪いことではないし、商品やサービスを見極めるのは正しいことだろう。しかし、ゆきすぎはいかがなものか。
人口100人の村があるとしよう。ミクロ経済学者は「全員がa円得すれば、村全体の富は100×a円増える」という。しかしマクロ経済学者は、「村全体の富の増加は単純に個々が得した分の合計ではない」と反論する。誰かが得をするということは、別の誰かが自らの富を差し出している可能性があるからだ。
所得のうち、消費に回す割合のことを「消費性向」という。もし消費性向が1(所得のすべてを消費に回す)なら、すべての所得は消費を通して企業の売り上げに転換され、最終的に消費したのと同じ額が所得として自分の懐に戻ってくる。
しかし、消費性向が0.5に下がると、半分のお金は個人の手元に滞留し、世の中に出回るお金の量は減る。その結果、所得も減少を余儀なくされる。そして、その減った所得の半分しか消費しなければ、ますますお金の流れは悪くなり、所得はさらに減少する。
現実の世界を見渡してみよう。ボーナスカットなどで収入が減った今、飲食も、服飾も、繁盛店は低価格帯の店ばかりだ。大胆な値下げを行うことで、ヒットが生まれている。人々は所得の目減りを補えるような消費行動をとるようになり、供給側もそれに合わせた商いを行っている。消費性向の低下が現実に起きているのだ。
消費性向を抑えるのは、貯蓄をしたいから。もちろん貯蓄をするのは悪いことではないし、日本人の美徳といっていいかもしれない。低所得化で貯蓄率は低下傾向にあるが、それでも貯蓄に励むのは「将来の不安に備えたい」「富を増やしたい」という思いからである。
好景気のときには世の中にお金がたくさん動いているから、ある程度貯蓄をしても(消費を抑えても)、所得が減る心配は少ない。金利も高く、株価も上昇するから資産も効率よく増やせる。しかし、不況時に貯蓄を増やすと、低価格のモノばかりを選択することになり、出回るお金は減る。前にも触れたように、景気が悪化して企業業績も振るわず、所得にはね返る。まさに負のスパイラルである。
つまり、個人にとって節約はいいことであっても、すべての人が節約に励むと消費が減って景気は悪化し、それにともない個々人の所得も減ってしまう。言い換えれば、節約で消費を削ることはミクロ経済学者的視点では正しい行為なのだが、マクロ経済学者の視点で考えると、正しい行為とは言い切れなくなる。これを経済用語で「合成の誤謬(ごびゅう)」という。個人にとっては合理的な行動も、多くの人が同じ行動をとると好ましくない結果を招く、という意味である。
銀行にお金を預けると、企業への融資などに回るが、貸し渋りが起きるとお金は滞留して何も生み出さない。企業の資金需要がなくなれば結果は同じである。規制緩和などビジネスチャンスを増やす施策も必要だが、新しいビジネスを生み出す、個々人の「発想」「チャレンジ精神」を喚起していくことも重要だろう。
ビジネスマンの小遣いが減れば、本を読んだり、セミナーに足を運んだりして、発想の土壌をつくる機会も少なくなっていく。仕事帰りに部下を誘って、酒の席で士気を高めることもままならない。「景気対策のために小遣いを増やしてほしい」。そんな切り札で、世の奥様方の財布の紐を緩められないだろうか。
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