「小遣いが減らされた」「子供と一緒に弁当を持たされている」など、大勢のサラリーマンが愚痴をこぼしている。しかし、節約は家庭にとどまらない。どの企業でも、かなりの経費削減が行われている。広告宣伝費や販売促進費など削るものの項目は多岐にわたる。
「削れるものは削る」というスタンスは悪くないし、企業としては当然ともいえる。しかし「何を削るか」「どう削るのか」には細心の注意を払う必要がある。誤った節約の励行は効果を生まないばかりか、逆効果を招く危険があるからだ。
吉川英治の『新書太閤記』のなかに、こんな話がある。
織田信長が木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)を炭薪奉行に就かせた。前任者に炭や薪の節約を命じていたものの、信長はその成果に満足しなかったのだ。そこで藤吉郎は、実際に炭や薪を使用している場所をくまなく見て歩いた。確かに若侍や小者たちは炭を冗費していた。しかも、見回りに気づくと咄嗟に火をもみ消し、澄ました顔をする。
「節約を命じているのに冗費し、そのうえ、事実を隠すとは何事か」。普通はこう叱りつけるところ。しかし、藤吉郎はこう言った。「火の気がなくては寒々しい。必要なだけ取りにきて、存分に使ってよろしい」と。
無理な節約を強いられればストレスが生じ、さも節約をしているかのように振る舞い始める。それでは実態が見えてこない。まずはその窮屈さから解放しよう。藤吉郎はそう考えたのだ。
それからしばらくして藤吉郎は気づいた。「若侍や小者たちは、屋内にこもって無駄話に明け暮れている。この悪習を正し、暖を取る暇を与えなければ、炭薪の消費は減るはずだ」。
早速、武具の手入れや講習、土木、稽古事などを命じ、暇をなくすように努めさせた。すると1カ月で消費していた量の炭薪が3カ月も持つようになったのだ。見事、節約成功である。
無駄な時間ができぬように仕事をさせ、炭薪を使う「時間」を削減したわけだ。節約を強いることなく、使用量を減らせる。ストレスを与えるようなやり方は効果を生まない。視点を変え、別の方法を考えたほうが効果を得やすい、という教訓だ。
また、消費量(フロー)を見るだけでは十分な節約はできず、ストックに目を向けることも重要だと気づかせてくれる。藤吉郎が商人の案内で山を検分し、台帳と照らしたところ、3分の1のごまかしがあることが判明。そこで不正への罰として、商人には伐採本数の5倍の苗を植えるよう命じた。
いずれも視察と考察の賜物である。当事者から上がる報告だけでは、真実は見えてこない。指揮をとる者は「現場主義」を徹底させることが重要なのだ。
財務担当者の仕事も然り。財務諸表を見ているだけでは問題点を発見できない。工場や倉庫など現場に足を運び、自分の目や耳を使ってこそ、改善すべき個所がわかってくる。
さて、企業で行われている節約はどうだろうか。文具など、消耗品の節約を強いることで気持ちが引き締まるなら成功だが、窮屈な思いを抱くようなら、社員のモチベーションが下がり、その成果は限られるだろう。
役員のグリーン車利用を禁止、というのもありがちだが、「役員に昇格すればグリーン車」と思えばこそ、社員の士気も上がるというもの。チェックすべきは、経費の多寡でなく、経費に見合った仕事ができているかだ。
一方で、絶対にやってはいけない節約もある。研究開発費を削るということは、将来、果実をもたらす苗に水を与えないのも同然の愚行だ。
最後に会計士として助言を一つ。経理伝票に経費の使用目的を記入する欄が「摘要」である。同じ「出張旅費」でも、その摘要欄を見て、節約すべきものかどうかを判断してほしい。
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