国土交通省は、建設業の海外展開支援策として、直轄工事への国際的な入札方式の導入を検討する。海外で広く行われている設計付き工事発注方式によるコンソーシアムのほか、受発注者間の各手続きを明確化する役割を持つ第三者技術者などの仕組みの導入を検討し、日本企業が海外プロジェクトに挑戦しやすくなる体制を整える。導入に向けた課題などを早期に整理する考えだ。27日に開いた「国交省直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会」で示された。
国交省所管分野の成長戦略を検討した有識者会議は、5月中旬にまとめた最終報告で国内建設業の海外展開の支援策として、国際的な発注、契約方式などのグローバルスタンダードの積極的な国内への活用を挙げていた。今回の取り組みはその一環となる。設計付き工事発注方式によるコンソーシアムは、設計部門の技術力の高い土木コンサルタントと施工会社の共同体による競争参加を可能とする仕組みで、民間企業の技術力とノウハウを活用してより良い品質の確保を目指す。建設業許可を取得していない土木コンサルタントの参加も促す仕組みを検討する。
橋梁などの構造物工事や設備工事で導入を検討し、海外で広く使われている設計付き工事発注方式への国内建設業の参加を促進するとともに、多様な企業群で建設事業の受注を狙うパッケージ化への対応にも役立てるのが狙いだ。国交省は今後、導入に向けて土木コンサルタントと施工会社の責任分担に関する協定書(代表者、出資割合、責任範囲、利益配当、瑕疵〈かし〉担保など)の内容や、契約書の形式・内容(委託と請負を個別に結ぶか、一括して結ぶか)、競争参加条件・技術評価方式などについて課題を整理する。
第三者技術者は、発注者、受注者以外の公正・中立的な第三者の技術者が発注者の責任の一部を分担し、受注者からの要請(工期の変更、品質検査など)にも対応する仕組みだ。3者間の各手続きを明確化して事務手続きの効率化を図る。海外で普及しているFIDIC(国際コンサルティング・エンジニヤ連盟)土木工事標準約款に準拠した契約を行い、国内建設業の海外工事への参加を促す。
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