パナホームは7月23日、CO2排出収支をゼロにする「CO2±0(ゼロ)住宅」の実証研究棟が滋賀県東近江市のパナホーム本社工場内に完成したと発表した。東京大学、日建設計、海法圭建築設計事務所との産学共同研究で、2011年度の製品化に向けて実証実験を開始する。
「CO2±0住宅」は、建物の高い気密・断熱性能や、日射の熱取得や蓄熱、熱融通性能の「省エネ」「活エネ」技術でCO2排出量を1990年築の在来木造住宅比約65%削減。同時にソーラー発電システムやエネファームで発電する「創エネ」によって、残りの約35%を相殺する。相殺するCO2排出量は年間1.5トンに相当する。
省エネ、活エネは、設備機器に頼る従来タイプの省エネ住宅とは異なり、断熱・蓄熱・集熱・熱融通など建物躯体の性能と自然エネルギーの活用を重視することが特徴だ。実証実験では、東京大学が開発した自然エネルギー活用技術を、日建設計と海法圭建築設計事務所が住宅設計に落とし込んでいく。
実証研究棟は軽量鉄骨造2階建て、延べ床面積は40.8坪(135.0m2)。省エネでは、真空断熱材、LED照明、エコキュート、エコ家電、エコライフ換気システムなど、活エネでは、日射熱を取り込んで蓄える「ダイレクトゲイン」、居室間で熱を移動させる熱融通などの仕組みを導入した。また、ソーラー発電システムなどで発電した電気を蓄積するバックアップ蓄電機能付DC分電盤なども備える。
4人家族(夫婦と子供2人)の生活を想定しており、実際に家族に住んでもらいながら日常生活での創エネルギーと消費エネルギーの収支を検証・評価する。データ収集には、全回路の消費電力を1分間隔で計測するエネルギー計測システムや、屋内外の日射量や温度を測定する温熱環境計測システムなどを利用する。実証実験は2010年7月から3年間継続する予定だ。
パナホームは、実証実験の成果を基に、2011年度にソーラー発電またはソーラー発電+燃料電池の「W発電」を採用した住宅を発売する予定。価格帯は、既存の住宅商品と比べて高価にならない「実売レベル」を目標としている。
所在地:滋賀県東近江市中岸本208番地
発注・設計・施工者:パナホーム
竣工時期:2010年7月
オープン時期:2010年7月
主構造:軽量鉄骨造
階数:2階
延べ床面積:135.0m2
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