Archive for » 11月 15th, 2010«

住宅エコポイントが始まり半年、新築なら一戸当たり一律30万ポイント、リフォームは一戸当たり最大30万ポイントがもらえますが、8月までの実績を見てもまだまだ利用者は少ないようです。住宅エコポイントは2011年末まで延長される見込みです。ぜひ内容を理解していただき、利用していただきたいと思います。

エコポイント対象になる断熱工事について

 住宅エコポイントは、木造住宅の新築の場合は省エネ基準を満たせばOKです。通常「次世代省エネ基準」と呼ばれているもので、住宅性能表示でいうと「省エネルギー対策等級4」となります。

  「新築で30万ポイントではインセンティブが小さい」という声も耳にしますが、そう捨てたものでもありません。例えば、「省エネルギー対策等級4」の断熱工事と現在の一般的な新築の断熱工事との差額について、旭ファイバーグラスでは建て主の負担ベースで34万円前後と試算しています(延べ面積114.7m2・木造2階建て住宅で試算)。住宅エコポイントを利用すれば、わずか4万円の追加投資でランクアップした断熱性能の新築住宅に住めるということになります。併せて金利引下げ幅が大きくなった住宅金融支援機構のフラット35Sなどを利用すれば返済額も大幅に軽減されます。

  また、ランクアップした断熱性能の住宅は、温度差の少ない快適な空間であり、暖冷房費用が節約でき、人にも地球にも優しい住宅といえます。

次世代省エネ基準を満たすと得られる快適性メリットと環境配慮の効果(図:旭ファイバーグラス)

 

 一方、リフォームは各部位でエコポイント取得に必要な断熱材のボリュームが示されており、これを満たせば基準と関係なく天井・屋根は3万ポイント、壁は10万ポイント、床は5万ポイントもらえます。

  これだけ断熱の重要性が叫ばれているにもかかわらず、現場ではいまだに基本的なミス(断熱材の入れ忘れや防湿層の破れなど)が見られます。どんなに高性能な断熱材を使っても施工を間違えれば台なしです。こういったミスは断熱性能を低下させるだけでなく、結露の原因にもなり、長期的には家の耐久性を損なう危険性があります。

  省エネ対策等級の基準にかかわらず、断熱工事における大切なポイントは「断熱層や防湿層の連続性」ということです。以下、断熱材を入れ忘れやすい場所など、断熱工事で注意すべき場所を挙げてみたいと思います。

 断熱工事のポイント(1) ~意外と多い断熱材の入れ忘れに注意~

(1)外気に接する床……二階床の下地合板は上棟後早い時期に張られることが多いことから、防湿シートの施工を忘れられるケースがあるので注意が必要です。

 (2)土間床……基礎と土台の間に通気する基礎パッキンを使用すると、床下から室内に外気が流入するため、気密性を確保する必要があります。

 

(図:旭ファイバーグラス)

 

(3)浴室……ユニットバスは、上棟後早い時期に据え付けられる事が多いので、その前に土間床部・外壁部などの断熱施工を終わらせておくことが必要です。

 (4)床……根太床の場合、階段の下や押入れ・床の間など根太を施工しない部分に断熱材の施工を忘れることが多いので、全面に根太を施工する方法か、剛床にする方法を推奨します。

 

(写真:硝子繊維協会「グラスウール断熱材充填断熱施工マニュアル」)

 

(5)下屋……下屋部分の天井断熱だけでなく二階壁下部の断熱・防湿施工を忘れやすいので注意が必要です。

断熱工事のポイント(2) ~気流止めの施工~

 在来軸組み工法は、壁・天井と床の取り合い部において隙間ができやすいので、気流止めが必要となります。気流止めが無いと、冬期など床下の冷気が外壁や間仕切壁を通過し小屋裏に流れるため、十分な断熱性能が得られなかったり結露の原因になったりします。

 

気流止め(間仕切り壁-天井取り合い部の例)(図:旭ファイバーグラス)

 

 気流止めには、乾燥木材や袋入れ断熱材(温暖地のみ)などを使いますが、外壁-床、外壁-天井、間仕切壁-床、間仕切壁-天井のすべての取り合いに気流止めを設置するのは手間が大変です。断熱材の防湿層を効果的に使えば気流止めを省略することができる場合もあります。上の耳は梁・桁・胴差に留め付け、石膏ボードなどで押さえます。左右の耳は柱や間柱の上で留め付け、石膏ボードなどで押さえ、下の耳は剛床にして床下地合板と床仕上げ材ではさんで留め付けます。この方法だと、気流止めが必要なのは間仕切壁と最上階天井の取り合いのみとなりますが、剛床に加えて桁上断熱や屋根断熱にすれば気流止めはすべて不要となります。

 

(図:旭ファイバーグラス)

 

 現実問題としては、建て主自身が断熱施工のチェックをするのは難しいでしょう。信頼できる施工業者を選択することが重要です。また、断熱材業界や断熱材メーカーの断熱施工マニュアルを入手し、施工前に施工業者と打ち合わせておくとよいでしょう。

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経済産業、国土交通の両省は12日、地球温暖化防止のため2020年度までにすべての新築住宅・建築物を対象に省エネルギー基準適合を義務付ける方針を固めた。延べ2000㎡以上の大規模建築物から段階的に義務化し、最終的には一般住宅までを対象とする。現時点では「別の法律で基準などを定め、枠組み法である建築基準法の建築確認で確認し、基準を満たさない場合は建築確認がおりない、ということを念頭に置いて」(国交省)制度設計を検討している。義務化に当たり基準自体の見直しや制度の周知期間を設けることなどから、義務化の適用開始は12年度以降になるとみられる。
 =関連2面
 省エネ基準適合義務化方針は経産、国交、環境の3省が設置する「低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議」の第2回会合で、義務化の骨子案として提示された。今後、基準のあり方や支援策などを詰め、11年1月にも開く次回会合で決定する。
 骨子案によると、大規模改修などを含む新築住宅・建築物を義務化の対象とし、既築建築物は対象外とした。ただ、会議の委員から「既存建物への対応は極めて重要。現実的に照明などは規制が可能」との指摘があり、今後の検討次第では既築建築物でも一定の規制をかける可能性もある。
 義務化に当たり基準自体も見直す。現行省エネ基準は断熱性能などを中心に規定しており、これに自然エネルギー利用や暖房・冷房、給湯など建築設備のエネルギー消費量を加え、総合的な基準とする。現行基準は1999年に設定、現在、新築一般住宅の基準適合率は1−2割程度とされることから「実現可能なレベルで設定する」としている。
 あわせて、地域性を考慮して気候風土に応じた多様な取り組みも評価できるようにする。見直す基準の内容が省エネ法の範囲を超えることも想定されるため、義務化の制度導入に当たっては、既存法の改正でなく新法を制定することも視野にあるようだ。
 また、将来的にZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM住宅(ライフサイクル・カーボン・マイナス住宅)に誘導するよう、躯体や建築設備に加え、再生可能エネルギーなどの導入も評価する、より高いレベルの「誘導基準」も設定する考え。義務化に先立ち、基準適合の表示制度も導入する。
 義務化の円滑な実施に向け、一般消費者への省エネ効果を体験する機会の提供や、施工者向けの技術習得支援、民間審査機関・審査担当者の育成による審査能力向上・体制強化などの環境整備にも取り組む。

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