住宅瑕疵担保責任保険を運営している保険法人は、2010年の春以降に新事業として既存住宅を対象とした瑕疵保険の運営を開始した。この保険は任意加入で、宅地建物取引業者が売る住宅を対象とするものと、個人が売る住宅を対象にするものの2種類がある。
宅建業者が売る既存住宅のための瑕疵保険には、売り主の宅建業者が加入する。売却した住宅に瑕疵が生じた場合、宅建業者は瑕疵を補修するなどして瑕疵担保責任を果たし、掛かった費用に応じた額の保険金を受け取る。
個人が売る住宅も対象
一方、個人を売り主とする既存住宅が対象の保険では、加入者は売り主ではない。売り主の依頼で住宅を検査した会社が加入する(下の図参照)。住宅に瑕疵が生じると、売り主の代わりに検査会社が補修するか、補修工事の費用を負担するなどして対処。その後、瑕疵への対処にかかった費用に応じて保険金を受け取る。検査会社は、住宅の買い主からも検査と保険加入の依頼を受け付ける。
個人の売り主も法規上は瑕疵担保責任を負うが、発生した瑕疵に自力で対処するのは難しい。そこで国土交通省は、売り主や仲介会社とは別の検査会社が瑕疵保険に加入して、売り主の瑕疵担保責任を実質的に代行する仕組みをつくった。保険法人はこの仕組みに沿って保険を運営している。
保険金支払いの対象は、基本的には新築住宅向けの住宅瑕疵保険と同じで、構造耐力の不足と雨漏りだ。有効期間が5年間である点などは新築向けの保険と異なる。
二重検査が必要とされる理由
個人が売り主の既存住宅を対象とする瑕疵保険には、インスペクターのような検査専門会社だけでなく、住宅会社やリフォーム会社などでも加入できる。
保険の対象の住宅には検査会社と保険法人がそれぞれ検査を実施する。二重検査をする主な理由は、検査会社が検査前の改修や補修を自社で行い、住宅に対する立場が第三者ではなくなる場合もあるためだ。この場合でも検査の“第三者性”を確保するために、検査会社と保険法人のダブルチェックを制度化している。
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