住宅瑕疵担保履行法(履行法)は、新築住宅を手掛ける住宅会社に対し、住宅瑕疵担保責任保険(瑕疵保険)への加入や保証金供託の「状況」を半年に一度、都道府県などに届け出る義務を課している。新築の仕事がなく、保険加入が一件もなくても届け出なければならない場合があるので、注意が必要だ。
新築住宅を施工したり分譲したりしている住宅会社は、毎年春と秋の2回、それぞれ半年間に引き渡した新築住宅について瑕疵保険加入などの義務を果たしたことを、行政庁(都道府県か国土交通省の地方整備局)に届け出なければならない。春の届け出は3月31日を基準日として4月21日までに行うことになっている。2011年春は、履行法が施行されてから3回目の届け出だ。怠ると同法41条に基づく罰則(50万円以下の罰金)の対象になるほか、建設業法や宅建業法に基づく行政処分の対象ともなる。
瑕疵保険加入の届け出義務を規定した履行法4条1項は、保険加入(保険契約締結)などの「状況」を行政庁に届け出なければならないと定めている。一読した印象では、保険に加入しなかった場合は届け出をしなくてよいようでもある。しかし、国土交通省の担当部署である住宅瑕疵担保対策室によると、保険加入が0件であることも“加入の状況”に含まれる。履行法が全面施行された09年10月1日以降に新築住宅を引き渡し、同法に基づく届け出をした住宅会社は、たとえ新築事業をやめても、直近の新築物件を引き渡してから10年間は届け出の義務を負い続けるという。保険加入などが0件の場合の届け出を不要にすると、行政庁は届け出ない住宅会社が実際に新築0件なのか、あるいは届け出るべきなのに忘れているか、確認できなくなるからというのがその理由だ。
履行法に基づいて瑕疵保険加入などの義務を負うのは、建設業の許可か宅地建物取引業の免許を取得した住宅会社だけだ。新築住宅の引き渡し後、建設業許可も宅建業の免許も手放した場合は、直近の新築物件を引き渡してから10年未満でも、届け出義務の対象外になる。
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