東日本大震災がもたらした福島第1原子力発電所の事故や、電力会社が実施している「計画停電」の影響で、再生可能エネルギーへの注目が高まるのは必至だ。「太陽光発電」や「太陽熱利用」については、住宅への導入が加速する可能性がある。建築設計者や住宅関連事業者には、建物の規模や立地条件、建て主の生活スタイルに合わせて両者を使い分け、組み合わせる能力が求められる。
まずは質問を1つ。下の写真のパネルは、太陽光発電パネルか、あるいは太陽熱集熱パネルか――。
正解は「太陽熱集熱パネル」だ。よく見れば、金属製の集熱板をガラスで覆っていることが分かる。
太陽光発電パネルと太陽熱集熱パネルは、遠目には見分けがつきにくい。「太陽エネルギーを利用するために、住宅の屋根にパネルを設置する」という共通点を持つため、見た目がよく似ているからだ。「電気」を生み出す太陽光発電と、「熱」をそのまま利用する太陽熱利用の仕組みは大きく異なるが、内容も混同しがち。以降では、その違いについて、両者を比較しながら再確認する。
エネルギーの利用効率は「熱」に軍配
■エネルギー利用効率――「12%」と「40%」
同じ太陽エネルギーを利用する設備機器でも、エネルギーの利用効率だけを比較すると、太陽熱利用システムは太陽光発電システムに比べて圧倒的に優れている。
日本エネルギー経済研究所の「再生可能エネルギー等の熱利用に関する報告書(案)」(2011年2月)によると、光エネルギーを半導体で電力に変える太陽光発電システムの利用効率が約12%であるのに対し、熱エネルギーを熱のまま利用する太陽熱利用システムでは約40%にも達する。
このため、太陽熱利用では、集熱パネルの設置面積が少なくて済む。屋根面積が限られる都心の狭小住宅などで有利だ。ただし、熱利用は「自家消費」が原則となる。熱の搬送に伴うエネルギーロスが大きいことや、日本での熱導管網の整備が限定的だからだ。系統電源との連系が可能な太陽光発電システムと比べると、用途は限定される。
■価格――「200万~300万円」と「30万~130万円」
一般家庭に太陽光発電システムを設置する場合、3kWで200万円ほどの費用がかかる。パネルの設置面積は、20m2から30m2程度が必要だ。
太陽熱利用システムは、その半額以下が中心。集熱パネルと貯湯槽が一体となった「太陽熱温水器」(自然循環式)なら、4m2・200リットルのタイプで30万円から50万円程度だ。太陽熱温水器は、シェアの9割を占める。
業界大手が普及を推進しているのが、屋根に設置した集熱パネルと、地上に置いた貯湯槽の間で不凍液を循環させる「ソーラーシステム」(強制循環式)だ。4m2・200リットルで90万円程度と高額だが、補助熱源機を内蔵する製品が出ている。天気が悪くてもガス給湯で補えるため、使い勝手はいい。
急速に普及する「光」と、巻き返しを図る「熱」
■技術――「ハイテク」と「ローテク」
半導体を用いる太陽光発電システムは「ハイテク」製品だ。大規模な設備投資を要するため、シャープや京セラ、三洋電機といった巨大企業が太陽電池の開発・製造を手掛ける。
対する太陽熱利用システムは、構造が比較的単純な「ローテク」製品。長府製作所やノーリツ、矢崎総業といったメーカーがガス会社と組んで「ソーラーエネルギー利用推進フォーラム」を設立し、信頼性の高い製品の普及に取り組む。
■市場――「急拡大」と「巻き返し」
太陽光発電システムの設置件数は、ほぼ右肩上がりだ。国による補助金の申請受理件数は、2009年度が約14万4600件、10年度が11年2月時点で17万件超。一方、1980年のピーク時に82万台超だった太陽熱利用システムは、原油価格の下落で急減し、年間7万台程度で推移。巻き返しを狙う。
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大阪府行政書士会 旭東支部所属 (大阪市都島区・鶴見区・城東区・旭区) 東洋法務総合事務所の B l o gへようこそ。
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