国土交通省は18日、従業員を社会保険に加入させないことで経費を削減している「保険未加入企業」の排除策に関する建設業団体向け説明会を省内で開いた。排除策の方向性などを説明したほか、国と建設業界団体でつくる「保険未加入対策推進協議会」(未加入協)への参加や、各団体ごとに定期的な加入実態の把握や計画的な加入促進策を進めるための「保険加入計画」を策定することなどを要請。
業界側からも法定福利費の別枠支給などの要望・意見が出された。説明会は公開で行われ、元請や専門工事業など58団体の担当者が出席。このほかに企業の担当者ら69人が傍聴した。冒頭、土地・建設産業局の榎本健太郎建設市場整備課長は、少ない工事の受注をめぐって価格競争が激しさを増す中、雇用者の社会保険を未加入にしてまで受注しようという企業があると指摘。その上で「まじめに職員を遇している会社が割を食う状況は改善しなければならない。現状を変えるために何が必要なのかを行政や企業が協力して考えていきたい」と述べ、行政と建設業団体が一体となって保険加入促進に取り組む必要性を訴えた。
国交省側は、保険未加入企業排除策を検討中の有識者会議で挙がっている行政による建設業許可の申請時に加入状況確認や元請による下請への加入指導徹底といった対策の内容を説明。併せて未加入協への参加と保険加入計画の策定を要請した。意見交換では、建設業界側から保険加入を進めるためには法定福利費の別枠支給が必要との声が多く上がった。法定福利費が下請まで適切に流れる仕組みの構築を求める意見も出た。
従業員を保険加入義務のない「一人親方」のような形にするケースを増やさない対策を求める声もあった。
保険料を納付するには月ごとに一定の金額が必要となるが、工事の受注量には増減があり、保険料負担が重くなる月もあるため、工事発注を平準化してほしいとの要望も上がった。未加入企業への指導監督について、建設業許可の更新時に保険加入書類の添付を義務付ける以外の強化策を求める意見や、保険未加入のままで高齢化した労働者に対する保険加入の促進策の必要性を指摘する意見もあった。
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