将来、公共施設やインフラ資産の建て替え・改修に必要な更新費用は、現在の更新額の2.6倍――。総務省は全国111市区町村の協力を得て、このような試算結果をまとめた。建て替えや改修に必要な経費が不足する未来を示唆している。
調査では、将来、必要になる1年あたりの更新費用と、現在の年平均更新額を比較した。将来の更新費用は、更新額に新規整備額と用地取得額を加えた「現在の投資額」とも比べており、将来の更新費用が現在の投資額の1.1倍になることがわかった。新規の建設投資をストップし、用地取得額や新規整備額をすべて既存施設の更新に振り向けても、費用が足りなくなることを示している。
住民1人が将来の1年間に負担する更新費用の見込額は全国平均で6万3950円。人口25万人以上の自治体の平均が約4万円なのに対して、人口1万人未満の自治体の平均は約24万円だ。人口規模の小さな自治体ほど1人あたりの負担額が大きい。
施設の老朽化の状況も数値化した。耐用年数を超えた施設と耐用年数まで10年未満の施設の割合は、公共施設で43%、橋梁で13%、上水道管で34%、下水道管で10%だ。耐震改修済みか耐震改修の必要のない公共施設の面積割合は80%となっている。
更新費用は、耐用年数が経過した後に、現在と同じ面積や延長で更新すると仮定して試算した。対象としたのは2009年度までに整備された公共施設やインフラ資産だ。インフラ資産は道路、橋梁、上下水道を対象としており、河川や港湾などは対象外。公共施設には病院や競馬場などを含めていない。それでも、投資額ベースで公共施設やインフラ資産の約9割をカバーするという。調査に協力した市区町村の人口の合計は1802万人で、全国人口の14%を占める。
調査結果は総務省のウェブサイトで見られる。
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