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大工などの職人に対して「建築現場でたばこをなるべく吸わないように」と依頼する住宅会社も少なくない。「所定の場所で喫煙をする」などルールを決めて許可するケースもあるだろう。このような配慮は本当に顧客が必要としているのか。

 日経ホームビルダー2012年6月号では、2009年以降に木造の注文住宅を建てた顧客300人を対象に、建築現場における職人の喫煙と飲食のマナーに対する意識を尋ねてみた。

 現場で職人が喫煙することについて、「許せない」と回答した顧客は約35%。理由は「火事が心配」「臭いが嫌だ」などが大半だった(下のグラフを参照)。

 残りの約6割の人たちは、「条件付きでなら許せる」など喫煙への理解に前向きなことがわかった。「火事に気を付けてほしい」「近所迷惑にならないように」「臭いが付かないように配慮してほしい」など、顧客が不快に思うことを避けることが、理解を得るポイントのようだ。

 現場での飲食に対する顧客の意識も同様だ。飲食を「許せない」と回答した人は6%と少なく問題がないように思えるが、理解に前向きな人たちにも前提条件がある。「汚さないようにシートを敷いてほしい」「事前に飲食することを伝えて」など、顧客の不快を避ける配慮は心掛けておきたい。

顧客のちょっと言わせて!

 たばこは許せる

  • モラルを持っていれば許せる。たばこの吸い方が重要だ。(栃木、36歳、男性)
  • 建物の完成が近い状態であれば衛生的にも精神的にもよくは思わない。内装工程に入る前なら許せる。(埼玉、30歳、男性)
  • たばこを吸わないとストレスがたまるという人もいるので、内装に入る前なら許せる。それ以降の工程では敷地の外などで吸ってほしい。(長崎、31歳、女性)
  • 建て主が室内で吸わないように計画しているのに、完成前に大工さんが室内で吸ってしまうのは困る。ただ、内装工程の前ならば許容範囲と感じている。(北海道、31歳、女性)
  • 職人さんはたばこを吸う人が多いと思うので、近所迷惑になったり家を汚したりしないなどマナーを守ってもらえればよい。(東京、39歳、女性)
  • 建物がある程度まで完成したら臭いの心配があるので、土台や柱、梁などが入る前までなら許せる。木材が入った後だと、火災の危険などがある。(東京、36歳、男性)
  • 建物の中はだめだが、休憩時に外で近所の迷惑にならないなら許せる。もちろん、喫煙後きちんと片付けることが条件。(大阪、34歳、女性)
  • 少しの期間で臭いがこびりつくほどでなく、引き渡しのときに臭いを消しておいてくれるなら気にしない。大工さんにも休憩は必要。(神奈川、36歳、女性)
  • 職人さんも人間だから休憩中にたばこを吸うことはあると思う。後始末をきちんとして、室内で吸わないなら別に構わない。(埼玉、31歳、女性)

  

たばこは許せない
  • 屋外で吸っているとしても、工事現場に見に行ったときなどに私や子どもがたばこの煙を吸ってしまうことが心配。特に、子どもにたばこの煙を吸わせることに抵抗感があるので止めてほしい。(新潟、41歳、女性)
  • たばこの火の不始末などで火事になり焼失するのではないかと不安だ。(千葉、53歳、男性)
  • 新築の香りを大切にしたいのでたばこの臭いが付くのが心配。(島根、40歳、女性)
  • 嫌煙家であるため。(広島、35歳、男性)

 

 飲食は許せる

  • 内装が汚れないのであれば、内装工程に入っていても建物内で昼食をとるなどは構わない。ただ、段ボールを敷くなどはしてほしい。(北海道、34歳、女性)
  • 車の中で昼食をとるなどではゆっくりも出来ないと思う。汚したら掃除すればいいこと。(神奈川、36歳、女性)
  • 現場近くに飲食店やコンビニがない場合、仕方がないと思う。(愛知、38歳、男性)
  • 食べ物や飲み物をこぼした際、たとえ下地であっても傷みの原因になりそうで嫌だ。食べこぼしなどを防止するためにシートを敷いたり、ゴミの管理を徹底したりしていれば許せる。(福岡、32歳、女性)
  • 汚れないのであれば飲食は許せる。食事がとれないと職人さんは困ると思う。(東京、36歳、男性)
  • 建物自体に問題がなければ大丈夫だが、事前に建物を利用すること、例えば敷地内で飲食をすることなどを伝えておいてくれればOK。(広島、38歳、女性)
  • 汚されるかもしれないから少し嫌だとは思うけれども、休憩中など食事が必要なこともあるのだから仕方がない。ただ、絶対に汚さず、後始末をきちんとすることが条件。(埼玉、31歳、女性)
  • たばこよりはまだ許せる。ただ、飲食後、きれいにしてあるかどうかで許せる度合いが変わると思う。(長野、37歳、女性)
  • 建物や土地などを汚さないように気を付けていれば許せるが、内装工程に入ってからは生理的に嫌だと感じている。(兵庫、35歳、男性)

 

 飲食は許せない

  • 建物内で食事はモラルのない行為だと思う。乗ってきた車の中や、建物外の敷地で食事はするべきだと思う。(広島、35歳、男性)
  • 汚れる可能性もあるし、たとえ汚れた場所が後で見えなくなる場所だったとしてもお金を出している建て主の立場としては気分が悪い。(岐阜、49歳、女性)
  • 完成前とはいえ、建物は建て主のもの。昼食や飲食など休憩で建物を使うのは許せない。(宮城、37歳、女性)

 【調査概要】

2009年以降に木造の注文住宅を建てた顧客300人を対象に、2011年11月にインターネットを使って調査した。建築を依頼した先(設計と施工が別の場合は、主に打ち合わせをした依頼先)は、工務店が123人、設計事務所が19人、ハウスメーカーが152人だった。調査はネオマーケティング(旧メディアインタラクティブ)に依頼した

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建設業者の社会保険加入を促進する官民の取り組みが動きだした。
                   
行政と建設業団体、民間工事発注者などでつくる「社会保険未加入対策推進協議会」の初会合が29日開かれ、国土交通省は、参加した73の建設業団体に対し、▽社会保険加入促進計画の作成▽法定福利費の標準見積もり案の明示▽地方推進協議会の設置-を要請した。近く関係団体に法定福利費の標準見積もり案を作成するよう通知を出す。10月に開く2回目の会合で各団体から保険加入促進計画や法定福利費の標準見積もり案が報告される。
             
社会保険加入促進計画は、各団体が保険加入促進策を自主的に定めるもので、作成は任意。国交省は推進協の会合で作成のための枠組みを提示。各団体に保険加入実態を把握した上で、5年間の定量的な推進目標などを明示するよう求めた。法定福利費の標準見積もり案は、法定福利費の内訳を明示する標準見積書とその作成手順書で構成する。各専門工事業団体が作成。元請企業などに提示し、法定福利費が元請企業から下請企業を経由して個々の技能労働者に適正に支払われる仕組みを目指す。
        
現在、専門工事業者が建設工事を受注する際の見積もりは1トン当たりや1平方メートル当たりの単価で行われているのが主流で、この中で法定福利費がどのように扱われているのかが不明確。標準見積もり案を作成することで、法定福利費の内訳を業種ごとに明確にする。国交省は作成に当たり、標準見積書の様式や単価に含まれる法定福利費の切り出し方、建設・土木の別や下請の次数に応じた設定方法、個別事業者が様式に沿って記入する際の内訳の算出方法などに留意するよう専門工事業団体に説明。会合に参加した73団体に対し、作成要請を近く正式に通知する。次回会合までに作成し、11月以降に順次試行を開始。来年度から本格的に運用してもらう。
                     
地方の推進協議会は、6~8月に原則として地方のブロック単位で設置。地域の実情を勘案し、都道府県単位の設置も認める。構成員は建設業団体の地方支部や国の行政機関の地方局、都道府県などとした。

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リノベーションなどの大掛かりなリフォームの際に建物検査が欠かせないのは、現状性能に基づいた最適な改修プランを顧客に提示するためとも言える。建物の性能を正しく把握できれば、必要な場所に適正な改修費用をかけた提案が可能だ。バランスが取れた提案ができれば、顧客の満足度は高くなる。設備交換のような修繕工事ではなく、建設工事規模が大きいものほど住宅全体の現状性能を知ることが重要だ。

 顧客にとっては、建物の問題点が明確になるため、本当に必要な建設工事が何か把握しやすい。建設工事の優先順位が付けば、段階的なリフォーム計画も可能になる。なにより、建物の客観性能を把握できる安心感は大きい。他方、施工者にとっては、プラン提示に際して必要な建設工事であることを具体的に説明できるのが利点だ。顧客の納得を得られやすく、建設工事開始後に問題が発覚するといった想定外のリスクも回避、軽減できる。

 国土交通省の長期優良住宅先導的モデル事業として採択された「既存住宅資産化リフォームシステムモデル」を開発した丸山工務店(東京都江東区、リフォーム部門はマルハウジングサービス)の木造戸建て住宅向けの手順を例に、建物検査の概要や流れについて追ってみよう。

丸山工務店が使用する建物調査用の工具例。日常使用する工具とほとんど変わらないが、オートレーザー(写真中央)などの電気計測器等やコンクリートの強度を測定するシュミットハンマー(写真右上)などが加わる。築年数が古い既存住宅の調査にはゴーグルやマスクは必携道具。光源は、電池式の懐中電灯を用いるが、AC電源のライトが必要になる場合もあり、延長コードと併せて用意している(写真:日経ホームビルダー)
                             
ヒアリングと事前調査

 まずは現場を訪ね、ヒアリングと事前チェックを実施する。

 ヒアリングでは、顧客の工事希望などを聞き取るだけでなく、その家を将来的にどう使い、どう住み継いでいくかといった中長期的な使い方を聞き出すことが重要という。

 次いで、建物の築年など基本情報の確認や設計図書の有無などについて、「事前チェックシート」(下の写真を参照)を基に質問する。これまでの修繕やリフォームの実施の有無についても確認。また、地盤に関する調査資料がないかも確認する。

 併せて、建物の設計図書類についても確認する。築年の古い建物だと図面がない場合も多いが、その場合はその場で採寸を行い、次回調査までに間取図を作成する。

 重要なのが、点検口の有無の確認だ。建物検査に際し、床下や小屋裏に入り込める経路があるかを必ず確認する。専用の点検口がなくても、押入の天井や1階の床下収納などから進入できれば問題ない。こうした経路が全くない場合は、建物検査のための点検口(進入口)を新設してよいかを確認する。

リフォームの依頼を受け、初めて現場を訪れる際に使用する「事前チェックシート」。建物の基本情報を書き込めるようにしてあり、また必要な設計図書等の資料の有無もチェックできる。チェックシート下段には点検口の有無の確認項目もあり、現状でどの程度の建物調査が可能かを入念に調べる(資料:丸山工務店)
                                
                    
現場調査・外まわり

 1回目の打ち合わせ資料を基に、日を改めて建物検査を中心とした現場調査を実施する。丸山工務店の場合、作業はスタッフ2人で訪問して、午前9時から午後3時くらいまでの時間をかけて行っている。

 同社では下の写真の「現状建物調査チェックシート」を基に調査を進め、結果を書き込むとともに必要箇所について写真を撮影する。

 屋根や外壁、開口部、バルコニーなどの外まわりについては、ひび割れや欠損、浮きや剥がれ、隙間、腐食、ぐらつきなどの有無をチェックする。モルタル壁や床などは必要に応じて打音ハンマーを使用して軽く叩き、内部の劣化度合いを確認する。

 また、外まわりは雨水の浸入を防止する重要部位だけに、シーリング材の劣化など防水性能についても念入りにチェックする。

 日経ホームビルダー2012年6月号の特集「現場で学ぶリノベの極意」では、この他にも丸山工務店が実施している建物検査の内容や手順などを紹介した。建物検査をどのようにすればよいのか、参考にしてほしい。

丸山工務店の現状建物調査チェックシートは調査部位別に5枚に分かれている。項目は大きく「屋根まわり」「壁・軸組」「筋交結合部・柱頭柱脚接合部」「床」「基礎」「温熱環境」「劣化対策」「維持管理のしやすさ」「火災時の安全性」「高齢者等への配慮」に分けられ、2人の担当者がそれぞれ個別に調査する(資料:丸山工務店)

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