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 日経ホームビルダーは、住宅の新築やリフォームで発生しがちな顧客からのクレームの内容を知ることで得られる教訓を、「クレームに学ぶ」として連載しています。ここでは、2012年6月号に掲載した内容の一部を紹介します。


 新築住宅の建て主のAさんは、B工務店と契約する際に「明るい家が欲しい」と要望する一方で、予算に余裕がないためコストを抑えることも強く求めた。

  そこで社長のBさんは担当社員と共に、まずリビングルームの設計で開口部を大きく取り、明るい雰囲気になるように内装の仕上げも工夫した。他の部屋はコスト低減をより優先した仕様にした。“一点豪華主義”とも言える設計にAさんも同意した。

 引き渡し後しばらくすると、AさんからB工務店の担当社員に「ダイニングルームの暗さが気になる」と不満を訴える電話が掛かってきた。

ダイニングはリビングルームに隣接している。「リビングの明るさが際立っているために暗く感じるのではないか」。社員がそう推測して説明すると、Aさんは「それならなぜ、ダイニングも明るくする提案をしてくれなかったのか。過ごす時間が一番長い部屋なのに」と言い出した。

 それを聞いた担当社員は、「工事費を予算内に収めることを優先したので、コスト増加につながる提案はできなかった」と釈明した。「顧客のせいにするのか」と怒り出すAさん。Bさんが、ダイニングの開口部を広げるリフォームを無償で行うことでAさんをなだめた。 Bさんは「コストが厳しい案件だからといって、より良い住宅にしようとする提案をためらうべきではなかった」と反省している。

 また、顧客のなかにはローコスト志向であることを人に指摘されると、ケチだと言われたように受け取る人もいるので注意したい。

リフォーム案件でも要注意

 リフォームでは、予算に余裕がないために工事をする箇所を絞り込もうとする顧客もいる。「変えたいのは部屋の中だけ。廊下は元のままでよい」。マンションのリフォームを主に手掛けるライフデザイン(東京都千代田区)は、顧客からそんな要望を受けることがある。 同社で接客を担当する山口裕子さんはその場合、「住宅のある部位が更新されて高いグレードに変わると、他の部位は相対的に古くみすぼらしく見えることもある。それでもよいか」と念を押す。顧客の当初の予算を尊重しながらも、契約金額を予算内に収めることにとらわれすぎて、かえって不満を招かないように注意しているという。

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