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 「地域建設業が疲弊している」−−。いまやこの言葉は地域の建設産業を語る上での“枕ことば”のようになっている。国土交通省は『建設産業の再生と発展のための方策』を示し、「足腰の強い地域建設業の構築」を目指すことを打ち出した。だが、地域の建設業が存立を依存してきた公共投資はピーク時の半分。「地域建設業の消滅」は、起こり得る未来ではなく、既に始まっている現実だ。そうした中で、建設業許可業者数の9割以上を占める資本金1億円未満の地域建設業では、新たな未来を目指して自ら進む道の“選択”が始まっている。 「住民が10人いたら、15個のおにぎりをふるまえ」。四国の建設会社社長は、親からこう教わって育てられた。北陸の建設会社の社長も子どものころ、見ず知らずの人から「あそこの建設会社の息子さんでしょ。地域を良くしてもらってありがとう」と言われて育った。ある建設会社の社長は「地元の仕事は、役場か、農協か、うち、と言われる」と雇用に対する地域の期待を一身に背負う。

                         
 こうした地域の建設業が依存していた公共投資は、1992年度の84兆円をピークに、2011年度は42兆円にまで落ち込んだ。建設投資が減り始めた96年ごろは「まだそれほど危機感を持ってはいなかった」という地域の建設会社は多い。

                                
 01年に小泉内閣が発足し、「時の財務大臣が、『公共事業費は高すぎる。事業費を減らしても、量(件数)が出れば良い』と言った言葉がいまでも頭に残っている」。九州建設業協会の橋口光徳会長(橋口組代表取締役)は、当時の衝撃をこう語る。さらに05年以降は、入札の形が変化し、「一般管理費を下げても品質は確保できる」との理由に基づく大手企業による低価格競争が激化した。その上、09年に民主党政権が誕生。「いきなり公共事業を3割も減らして、様変わりした。しかもそれに対するフォローもなかった」(橋口会長)という。小泉政権で危機感を感じ始めていたにもかかわらず、「二番底」「三番底」が存在した。

                                
 10月の全国建設業協会のブロック会議で上がった調査基準価格の一般管理費部分の引き上げを求める強い声は、地域建設業の限界点がもう過ぎたことを表している。

                             
 ある会社は、「自分たちが生き残る環境をつくらざるを得ない」と、協会を通じて自治体が供給過剰構造を是正するよう促す活動を進めた。別の会社は、「地域を守り続けるため」に新分野に活路を見いだす。「口を開けて待つだけはおかしい」と地域の仕事を自ら探し始めた企業もいる。都市部で災害時に人と機械を拠出する「都市の地域建設業」とも言える専門工事業では、元請けに活路を見る企業、施工力で意地を見せる企業もいる。)

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