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 日経ホームビルダーは、住宅の新築やリフォームで実務者が顧客から受けたクレームの事例とその教訓を、「クレームに学ぶ」として連載しています。ここでは、2013年1月号に掲載した内容の一部を紹介します。


 仕様と価格を明示して値ごろ感を持たせた「規格住宅」を好む建て主が増えている。Aさんもその1人で、注文住宅より安くなると宣伝するB社の規格住宅を依頼した。

 B社は仕様の選択範囲を価格帯や家族構成などによって、少しずつ変えていた。Aさんにはその仕組みが分かりにくく、大抵は担当者に勧められるものを選んでいった。

 玄関タイルは砂岩調の4色から選ぶ仕組みとなっていた。担当者はカタログを見せて「白と黒は汚れが目立つので、オレンジかベージュが無難です」と説明。Aさんはほかとの違いがよく分からず不安に思いながらも、「プロがそう言うのならば失敗はないだろう」と勧めに応じた。

 住宅が完成して玄関タイルを見たAさんは驚いた。砂岩調の模様が土汚れのように見えたからだ。Aさんからクレームを受けた担当者は、「交換には追加費用が十数万円掛かるし、すぐにやり直すとタイル職人が感じ悪く思う。しばらく暮らせば見慣れます」となだめた。

              

 

 1年後に張替の要求

 約1年後、担当者がAさん宅を訪れた時のことだ。Aさんは話しているうちに玄関タイルの不満をこらえ切れなくなり、「1年たっても慣れるどころか、見る度にイライラする。どうにかしてください」と怒りをぶつけた。

 「今更言われても……」といった態度の担当者に業を煮やしたAさんは、住まいの悩みに応えるNPO法人住環境健康情報ネットワーク(愛知県一宮市)に、「B社の負担で玄関タイルを張り替えてもらうにはどうしたらいいか」と相談を持ち掛けた。

 理事長の中井義也さんは「担当者ではなくB社の責任者宛にこれまでの経緯と要求を文書で送るよう助言した。Aさんとの関係を修復したいなら、住宅会社が費用をある程度負担して張り替えざるを得ないだろう」と話す。

 規格住宅では、建て主は限られた仕様の中から選ぶ。納得ずくで決めたと言えないケースもあるので配慮が必要だ。

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