Archive for » 7月, 2013 «

日本建設業連合会(中村満義会長)は、社会保険加入促進のかぎを握る下請けとの契約における法定福利費(事業主負担分)の内訳明示で、会員企業の取り組むべき事項を「法定福利費を内訳明示した見積書の活用のマニュアル」にまとめた。1次下請けが法定福利費を明示した見積書提出後の協議の手順などを示した。作業員の保険加入率を下請けと協議する中で、現時点では未加入であっても今後、加入予定であれば「加入」として算出するのが特徴だ。23日に会員各社に送付した。
法定福利費の内訳明示のための見積書については、現在、標準見積書の9月からの一斉活用に向け、各専門建設工事業団体が精度向上のための作業を進めている。今回、日建連が示したマニュアルは、1次下請けが標準見積書に従った見積書を元請けに提出してきた際の対応を示した。また、法定福利費相当額の算出についてケーススタディーを例示している。
元請けは、1次下請けに適切な法定福利費(事業主負担分)を含んだ見積書を作成するよう促す。法定福利費は、国土交通省の方針に従い、労務費総額に法定保険料率を掛けて算出することを基本とする。企業によっては、見積書からそのままの様式で契約書を作成するシステムなど、独自のシステムを採用しており、対応できない可能性があるため、各社の見積書様式に応じて内訳明示ができる方法の対応を求める。
見積書が提出されれば、元請けと下請けが現場の作業員数や労務費など見積書の根拠について協議する。社会保険未加入だったり、適用除外の作業員もいるため、未加入者と適用除外者の数について1次下請けと協議。その結果の加入率を、作業員全員が社会保険に加入していると仮定した場合の法定福利費相当額に掛けて最終の法定福利費を決定する。この加入率を決める際に、協議時点で「未加入」であっても、今後、加入予定の作業員を「加入」とすることをマニュアルに明記した。
公共工事については、国交省の積算基準上、全作業員が社会保険に加入した場合の法定福利費の全額が予定価格に計上されているため、作業員の加入率を1次下請けと協議する必要はない。
1次下請けにとっては、工事での作業員数や保険加入の有無、加入の意思、作業員それぞれの労務費の把握が求められる。明確な人数や労務費が明示できない場合も、加入率など協議の基となる一定の数値を提示する必要がある。正確な法定福利費を算出できる場合は、自社の施工実績などに基づいて算出する。
法定福利費算出の根拠となる労務費は、日建連が既に「労務賃金改善等推進要綱」をまとめており、1次下請けとの契約の際に契約書特記事項で13年度公共工事設計労務単価の引き上げの趣旨にかなう適切な賃金が支払われていることを明記することになっている。このため、法定福利費の個人負担分は、労務費に含まれていることを前提としている。

◆標準見積書で法定福利費を内訳明示した見積書を受領する際の協議手順
ステップ1:元請けは、1次下請けに対し、適正な法定福利費を含んだ(または明示した)見積書の作成・提出を促す

ステップ2:1次下請けは、元請けに標準見積書を提出し、元請けはこれを尊重し、受領する

ステップ3:元請けは、提出者(1次下請け)から当該見積書に示した法定福利費相当額の算出基準・方法について明確な説明を受ける

ステップ4:元請けと1次下請けは、当該工事に従事する作業員(技能労働者)の保険加入の実態や未加入者の今後の加入予定などを勘案しながら協議し、下請け契約を締結する

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日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、山田栄治議長)は22日、13年賃金交渉の中間報告(19日時点)を発表した。加盟37組合のうち30組合の結果を集計。月次賃金は、ほとんどの加盟組合が前年水準を確保し、6組合ではベアを獲得した。ベアを確保した組合は前年より4組合増えた。一時金は、前年実績を上回ったのが14組合、同水準が6組合、下回ったのが5組合。同年齢年収は前年よりも1・31%の増加で、5年ぶりのプラスとなった。日建協は、厳しい情勢が続いているものの、組合員の賃金水準は下げ止まったとみており、「組合側としても企業を盛り上げていきたい」としている。
月次賃金について、交渉を行った17組合分を単純平均すると0・57%増だった。ほとんどの組合が定期昇給を維持できたものの、業績悪化を理由に賃金引き下げを提示されるケースもあった。一時金については、妥結済み25組合の単純平均が2・21カ月分だった。昨年実績を上回った組合が多かったが、先行き不透明感を理由に、回答延期や夏季のみの回答というケースも見られた。初任給については、3組合が引き上げを要求し、1組合で引き上げが実現した。学卒年齢22歳総合職で21万円以上という日建協の要求水準を達成した組合は21組合となった。
日建協は、賃金改善の兆しが見えたことは、建設産業の魅力や職員の意欲を高め、会社の業績向上にもつながっていくとみている。澁川明事務局長は「若手の離職防止にとっても大事であり、こうした傾向が続いてほしい」と話している。

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日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、土木を学ぶ大学生らを対象に土木技術者(シビルエンジニア)をPRする動画を制作した。土木が担うインフラ整備やプロジェクトを紹介し、土木の魅力や現場などでのゼネコン職員の仕事などをコンパクトにまとめている。会員企業などに計500部を配布する予定。支部とも連携しながら大学の就職ガイダンスやイベントなどで活用してもらい、入職促進につなげる。
土木系の大学生は、工学的観点からの学習が主体で、ゼネコンなどの仕事の具体的イメージをつかむ機会が少ないのが実情。ガイダンスなどではゼネコン社員の生活に関する質問も多く寄せられるという。動画はこうしたニーズを踏まえて制作。ゼネコンの仕事が幅広く、社員の経歴にもさまざまなバリエーションがあることなどを実例を交えながら紹介している。最前線で働く土木技術者が人々の日常生活を支え、ものづくりの指揮者として活躍できるやりがいのある仕事であることもイメージしやすい内容に仕上げた。
土木工事技術委員会(鈴木行雄委員長)の土木技術研究部会(部会長・吉川正鹿島技術研究所副所長)が3年間かけて作った。吉川部会長は「ゼネコンの仕事・役割をしっかり理解してもらい、希望と夢を持った若者に入職してもらえるよう働き掛けていきたい」と話している。

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