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日本建設業連合会(中村満義会長)は22日、労働委員会(委員長・今井雅則戸田建設社長)の会合を開き、2009年4月にまとめた「建設技能者の人材確保・育成に関する提言」とその基本方針の改定作業に着手した。社会保険の加入促進や新たな重層下請構造改善の目標などを盛り込む。13年度末をめどに新たな5カ年計画を策定する。 =関連2面
「建設技能労働者の人材確保・育成に関する提言」を実施するための基本方針では、基幹技能者の職長のうち、優良技能者の標準目標年収を「600万円以上」とし、優良技能者の賃金改善に努めることを示していた。重層化についても、「原則3次以内、5年後をめどに2次以内を目指す」としているほか、建設業退職金共済制度の普及や建設技能者の教育支援、作業所労働時間・労働環境、広報を提示している。
提言の発表から5年目を迎え、公共工事設計労務単価の引き上げに伴って日建連がまとめた「労務賃金等改善推進要綱」で、5年後に「原則2次(設備は3次)以内」を目指すことを示すなど、環境が変化していることから、提言と基本方針を改定し、新たな5カ年計画を策定することになった。
推進要綱に沿った重層下請構造の改善目標の実現に向け、工種別・職種別に改善の必要性と可能性を検証する。賃金水準については、優良職長だけを対象としている点も議論の対象となる見込み。社会保険未加入問題への対応も追加する。
日建連が今回、技能労働者の人材確保・育成に関する提言の改定作業に着手した背景には、7月18日に日建連が「労務賃金等改善推進要綱」を決定したことがある。会員企業は決定された要綱に基づき、今年度公共工事設計労務単価引き上げの根拠となった、技能労働者の社会保険加入の個人負担分や、技能労働者の賃金アップを、元請けとして行うための具体的対応をしていく。
ただ日建連が決定した労務賃金改善等推進要綱で最終的に目指す、技能労働者の環境改善や人材確保を実現するためには、労務賃金引き上げや社会保険加入促進だけでなく、人材育成支援を含む総合的で具体的な対応策が必要だ。
そのため今後、日建連労働委員会が見直す新5カ年計画では、技能労働者の環境改善につながる、「就労履歴管理システム」の建設現場への全面導入が一つの焦点になる可能性は高い。
技能労働者一人ひとりのさまざまな情報を1枚のカードに集約する仕組みが業界全体へ拡大すれば、社会保険加入状況だけでなく建設現場の入退場管理や資格、健康管理までを含め元請けや下請けが把握しやすくなるとともに、建設業退職金共済制度に基づく退職金の支払いも確実に担保されるメリットがある。

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